それらの中で、いまもっとも窓際に座らされているのがヘッドホン端子です。長年スマートフォンやPCの音声出力を担ってきたヘッドホン端子ですが、最近はBluetooth接続のワイヤレスヘッドホンも普及し、Lightning端子用、microUSB端子用のデジタル接続ヘッドホンも発売されるようになりました。この4月上旬には、JBLがスマートフォン「HTC 10」向けのUSB-C端子搭載ヘッドホンを発表しています。
また、アップルの次期iPhoneもヘッドホン端子を廃止してLightningコネクターに統合するといったうわさが出ており、すでにアナログの3.5mmヘッドホン端子は他に置き換えても問題ない要素になりつつあると言っても良さそうです。
ヘッドホンをUSB-C対応に置き換えることで新たなメリットも生まれます。たとえばヘッドホンのファームウェアを容易にアップデートできるようになり、プリセットイコライザーの追加やノイズキャンセル機能などのアップデートも可能となります。また心拍計や歩数計といったフィットネス向けヘッドホンのデータのやりとりも可能です。
一方でデジタル接続対応のためにCPUやDACを内蔵するため、コストはどうしても増加することになります。ただそれは普及が進めば自然とコストは下がっていくため、大した問題ではないかもしれません。
ヘッドホン端子がUSB-Cに置き換えられると困るのは、もしかするとすでにお気に入りの(または高価な)アナログヘッドホンを使っているモバイルユーザーかも知れません。そのためインテルはUSB-Cの拡張提案にアナログ音声を出力する機能も盛り込みました。インテルはUSB-Cのオーディオアクセサリーモードで、SBU1、SBU2ピンがアナログ音声出力に使用可能だと説明します。もしかすると将来的には「USB-C - 3.5mmステレオミニ変換コネクター」などという製品も現れるかもしれません。

また、アップルはUSB-Cの企画づくりに参加しており、12インチMacBookにUSB-Cを唯一の入出力端子として搭載するなどしています。EUはモバイル機器の充電用端子を統一するよう呼びかけており、アップルもこれに賛同していることを考えると、現在はLightning端子を備えるiPhoneやiPadなどもいずれはUSB-Cに統一される可能性はありそうです。
アナログの3.5mmヘッドホン端子はデジタル化の流れのなかで数十年を生き残ってきました。しかしそのモバイルオーディオ向けの役割は、すでに終わりの瞬間が始まっているのかもしれません。