元従軍慰安婦の遺族が韓国政府を相手取り起こした補償金請求訴訟の審理が27日、ソウル行政裁で開かれ、原告は「母が亡くなった際、一度も(韓国)政府の支援を受けたり、(関係者の顔を)見たりしたこともない。あまりに無関心で対策不在だ」と訴え、具体的な補償策を求めた。
原告は2010年に死去した元慰安婦の息子Aさんで、韓国政府の女性家族部(省に相当)を相手取り、5000万ウォン(約485万円)の補償金の支払いを求め、今年1月に提訴した。
Aさんは「韓日政府による交渉で慰安婦問題は解決されたというが、行政を信じることはできない。国民をごまかし、いつまでこのまま長引かせるのか」と述べた。
Aさんはまた、「自分は70代半ばだが、元慰安婦の女性らは家族もほとんどいない。事実上亡くなるのを待っているとでもいうのか。国家は国民を保護できなかった過ちに対する責任を負い、今からでも元慰安婦の女性とその家族のための実質的対策を立てるべきだ」と主張した。
審理では裁判官が女性家族部の代理人に元慰安婦とその遺族・家族に対する対策を尋ねた。代理人は「財団を設立し、日本から出資を受けることになっているが、政府にまだ出資金が払い込まれていない状態だ。まだ具体的な計画はない」と説明した。
これに先立ち、韓日政府は昨年12月28日、日本政府が慰安婦問題に軍が関与したことを認め、安倍晋三首相が謝罪することで交渉を妥結させた。合意文には慰安婦問題が「不可逆的に解決される」という認識を共有し、被害者を支援する財団に日本政府が10億円を出資するとの点が盛り込まれた。
訴訟は同日の審理で結審し、5月27日に判決が言い渡される。