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2016年04月28日 09時44分 UPDATE

ホラッチョばりの経歴詐称 京大卒、博士号取得……名門企業を手玉にとった男の正体 (1/4)

国内屈指の大企業を、子会社の派遣社員が手玉に取り、架空発注で約1億5000万円をだまし取るという仰天の事件が発覚した。

[産経新聞]
産経新聞

 住友グループの中核であり、住友商事、日本電気(NEC)とともに住友新御三家の一角を占める住友電気工業(大阪市)。そんな国内屈指の大企業を、子会社の派遣社員が手玉に取り、架空発注で約1億5千万円をだまし取るという仰天の事件が発覚した。大阪地検特捜部に2〜3月、詐欺容疑で逮捕、起訴された男(59)は偽りの経歴と巧みな話術を駆使し、不正を繰り返していたという。京都大卒、工学博士、大手メーカー現役社員−。経歴詐称で話題になった、あのショーンKさんもたじたじ!?の手口を追った。

画像 住友電気工業子会社の元派遣社員による架空発注の流れ。偽りの経歴と巧みな話術で約1億5000万円をだまし取っていた

被害総額は約4億7千万円?

 男が派遣されていたのは子会社の「住電半導体材料」(神戸市)。平成18年から、この会社の設備部に勤めていた。

 架空発注のスキームは(1)子会社工場の設備工事などをでっち上げる→(2)複数の業者と請負契約を結ぶ→(3)請負業者から、自らが代表のペーパー会社に下請けに出させる−というもの。もちろん工事は行わず、親会社の住友電工から引き出した代金を、ごっそり懐に収めていた。

 起訴状によると、架空発注の回数は24年7月から26年2月の間に、実に約120回に及んだ。子会社側は被害総額はさらに大きいとして、約4億7千万円の損害賠償を求めて、神戸地裁で係争中だ。

 一見、請負業者もグルでなければ犯行が成立しないように思えるが、業者側はいずれも、下請け先がペーパー会社とは知らなかった。「取引実績がなく、間に入ってほしい」という男の説明を信じ込んでいたという。業者が疑わなかったのは、男の輝かしい“経歴”に目をくらまされていたからだ。

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