「土台、最初に変形」関係者証言 強度不足か
神戸市北区の新名神高速道路の工事現場で橋桁が落下し、作業員10人が死傷した事故で、「橋桁の西端を支えていた土台が最初に変形して崩れた。土台の強度に疑問があった」と工事関係者が話していることが27日、分かった。橋桁落下は土台の強度不足で起きた可能性があり、兵庫県警は、土台の設置方法や強度に問題がなかったか調べる。
工事を発注した西日本高速道路などによると、土台は鉄製の建材や円柱形の支柱を組み合わせて設置されていた。橋桁を下ろして橋台に最終固定するまでの仮の台で、土台の上にはジャッキ4台を置いて橋桁の西端を支えていた。
西端の現場では事故当日の22日、クレーンを引っかけるための棒状の構造物「セッティングビーム」3基(計75トン)を橋桁上に設置する作業が新たに行われ、橋桁落下の約30分前に完了していた。
関係者によると、落下の状況を目の前で見ていた工事関係者が「セッティングビームを設置してすぐにジャッキの土台が変形して崩れ、橋桁が落ちた」と事故の瞬間を証言。事故前から「元々、重荷に耐えられないのでは」と土台の強度不足を不安視していたが、「工期が大幅に遅れていたので、土台を組み直せない状況だった」と説明しているという。土台のすぐ前を国道176号が通っているため、新たな土台を組めない事情もあったという。
橋桁は30日に周辺の道路を一時通行止めにして最終固定する予定だった。作業員らは、計画に間に合わせるために作業を急いでいた可能性がある。
橋桁の落下前、土台が東側に約18センチずれていることを工事関係者が認識していたが、作業は続けられたとの証言もあり、県警は工事関係者らから事情を聴いて確認を進める。【矢澤秀範、釣田祐喜】