マレーシアの首都クアラルンプールとシンガポールを結ぶ約350キロメートルの高速鉄道計画は日本と中国のほか、ドイツやフランス、さらには韓国も関心を示している。

 中国メディアの同花順はこのほど、マレーシアとシンガポールの高速鉄道計画について「受注に向けてもっとも積極的な国は日本だ」と主張する一方、中国が受注するためには技術力や価格競争力だけでは不十分と論じた。

 記事は、一部の予測として2017年第1四半期に同高速鉄道計画の入札が行われ、中国企業と日本企業の直接対決が見られることになりそうだと主張。さらに、日本政府と日本企業は数年前からすでに受注に向けて現地に拠点を設置していると伝えつつ、日本は新幹線の安全性と信頼性を武器に受注を狙うことになるだろうと分析した。

 続けて、中国は自国を中心とした経済圏の確立に向けて、東南アジアに中国とつながる高速鉄道網を構築したい考えだとしたうえで、資金力を武器にマレーシアに攻勢をかけていると指摘。さらに中国側の技術力について「高速鉄道にかかわる基幹技術はすべて掌握した」と主張、だからこそ中国高速鉄道ならば新幹線に比べて半額程度で建設することができるとし、コストの安さはマレーシアにとって大きな魅力であると主張した。

 一方で記事は、日本が新幹線の輸出を推進するのは「中国の一帯一路構想を阻害すること」が目的であると主張し、その証拠として「中国が一帯一路構想を打ち出してから、新幹線の輸出に力を入れ始めた」ことを挙げた。

 タイやインドなどでは中国高速鉄道を導入することについて経済的、政治的な両面から警戒する声が根強く存在する。中国に近づきすぎることは、中国に取り込まれてしまうと可能性があるという懸念が払拭できないためだろう。

 記事は、こうした警戒心に日本はつけこんでいると主張し、中国高速鉄道がアジア各国に輸出されるためには技術力や価格競争力だけでは不十分であり、「日本による妨害を防ぎつつ、周辺国の警戒心を解くかが重要だ」と論じている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)