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モバイル開発組織変遷モデル

今月から2年半いた組織を離れて新しい環境で、相も変わらずモバイルエンジニアとして働いている。

これまでモバイル開発専門の組織から1チームでAPIからアプリまで面倒を見るようなチームで働いてきたが、今の現場はまだモバイルチームがそんなに成熟しているわけはなく、これから色々と整備していこうという段階である。

これまでの経験の中で、どうやらモバイルアプリの開発組織には成長の過程に一定のパターンがあるらしい事に気付いた。

その変遷は、あたかもタックマンモデルの如く4つの段階から成っているように思える。

創生期

  • 人数: 約1-3人
  • 業務内容: Webviewベースのアプリのメンテ、スクラッチ開発等

組織がこれからモバイル開発にトライしていこうという状態、もしくはあまり力を入れていないがとりあえず既存アプリはメンテしたいという状態。

組織自体のモバイルへのコミットメント意識が薄いため、立場が弱くなりがちで立ち回りや政治に苦労する。

また、とにかく忙しいのでこの時期に作ったソフトウェアは大体後で捨てるハメになる。

やりたい事は色々あるけど手がつけられない状態。

形成期

  • 人数: 約4-7人
  • 業務内容: 継続的なアプリのエンハンス

創生期から採用が成功して人が増えた状態。

それなりに詳しいメンバーが入ってきたり、組織の中でもモバイルをやっていこうという機運が高まっていて高揚感を得やすい。

創生期ではWebメインで動く事が多かったが、立場が強くなったのでプラットフォーマー独自のガイドラインへの追従やアプリ独自の機能を実装したくなる。

創生期の反動か、とりあえず新しいライブラリや技術を手当たり次第に突っ込んでみたくなる。

確立期

  • 人数: 約8-10人
  • 業務内容: エンハンス + QA体制の整備や情報共有

統一期から更に人が増えると、複数アプリの開発が並行したりで各自が何をやっているのかが把握しきれなくなり、作業のお見合いや漏れが発生するようになる。

そうした事態を防ぐ為に、部署横断の会議や勉強会が開催されるようになる。

また、アプリのユーザーが増えたりコンバージョンが増加した結果、これまで以上の品質が求められる事になり、開発フローの整備やQA体制の充実に力を注ぐようになる。

新技術の採用に関しては勢いでいくと失敗するので、ちゃんと検証してやっていこうねという雰囲気になる。

成熟期

  • 人数: 約10人-
  • 業務内容: APIからアプリを含めた一気通貫の開発

更に組織が成熟すると、アプリのみに注目していてはこれ以上の改善が難しい事に気づき、APIやサーバ側の開発にアプリエンジニアが挑戦していくフェーズになる。

ここまでくると、モバイルエンジニアはWeb・APIチームと融合してサービスを作っていくフェーズになり、組織自体が解散、縮小される事もある。

あるいは、BFFのようなアーキテクチャデザインパターンを用いてモバイルに最適化されたシステムが開発される様にもなる。


この先はよく分からない。また新しいチームで創生期に戻るのかもしれないし、更に専門性を高めたい人間はモバイル一本に絞っていくのかもしれない。

モバイルエンジニアという職種が確立された理由としては、プラットフォーム及びオープンソース界の進化が速すぎて専業でなければキャッチアップしきれない、という背景があったように思う。

しかし、そのピークは過ぎた感じもあり、今後はどうなるだろうか。

個人的にはWeb開発者がAPIもフロントも書く様にアプリ開発者がAPIを開発するという状態がコモディティ化する気がするが、現状ではビルドの待ち時間やUIを磨き込む工数がWebよりも大幅にかかってしまう。

PlaygroundやInstant Runのもう一歩先を行くようなブレークスルー待ちといった所か。

思ったままに書き殴ったので細かい所は齟齬があるような気もするが、芯は外していない感じがする。

モバイルエンジニア、あるいはその組織のマネージャはこの図を見るとなんとなく次に目指すべき所が分かるのではないだろうか。