川崎二郎/穴見陽一『政治主導で挑む労働の構造改革』
たまたま書店で見かけて買ったのですが、これは想像以上に高水準の本でした。
http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/252000.html
著者の二人は自由民主党の国会議員です。ですが、本書の内容は、労働問題の専門家が読んでも参ったというくらいの高い水準になっています。
長時間労働の規制、同一労働同一賃金、待機児童など、働き方に関わる諸問題が相次いで議論されている。これらの背景には、少子高齢化に伴う労働力の減少、サービス産業の時代における日本型雇用の制度疲労、という大きな問題が横たわる。本書の狙いは、そうした労働問題の全体構造を示し、体系立てて対策案を提示することである。長年の雇用慣行や諸制度が絡み合う構造を把握しないまま各論ごとに対策を講じても、ある対策が別の問題を引き起こすといったことになりがちだった。
そこで著者は「働く人を増やす」(女性や高齢者の活躍)、「働く場を整える」(地方や中小企業の活性化)、「働き方を変える」(日本型雇用の改革)という、三つの柱についてそれぞれ、現状および課題を整理し、制度設計や政策などの対策を提示している。
長年の雇用慣行を見直し、既存の制度を変えるには、問題の全体構造を踏まえつつ、一つひとつ周りから突き崩していくことになる。こうした構造改革は政治主導でないと進められない。こう考えた二人の著者は、自由民主党の中で労働問題に関心を持つ有志を集め、「多様な働き方を支援する勉強会」を開催、2年間をかけて労働問題について勉強と議論を続けてきた。その成果をまとめたものが本書である。
本書にコラムを寄稿しているのが、清家篤、小室淑恵、海老原嗣生の3人という人選を見ても、よくわかっているという感じがします。
更に第4章では、メンバーシップ型雇用のデメリットとメリットを論じていて、わかっている感がいや増します。
第1章 問題の全体構造をとらえ、手を打つ—人材・産業・雇用の一体改革(変えるべきシステムを把握する 労働力の減少と長時間労働、厳しい現状を再確認 ほか)
第2章 働く人を増やす—全員参加型社会の展望(女性の活躍の推進 高齢者の活躍の促進 ほか)
第3章 働く場を整える—地方産業と中小企業が改革の担い手(地方産業のあり方を考える 地方産業の生産性向上 ほか)
第4章 働き方を変える—日本型雇用慣行がもたらす諸問題を解く(日本型雇用慣行の改革の必要性 メンバーシップ型雇用のデメリット ほか)
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