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特別鼎談 デル×SAP×リアルテック 「SAP HANA」の真価を引き出すノウハウとソリューション
IoT(Internet of Things)/ビッグデータの潮流の中で、膨大なデータをリアルタイムに分析したいというニーズは日増しに強まっている。その中で周囲の期待がますます膨らんでいるのが、SAPの次世代ERP製品「SAP S/4HANA」の基盤としても採用されているインメモリデータベース「SAP HANA」だ。ここでは、SAP HANAの日本でのさらなる普及に取り組むSAPジャパン、デル、およびリアルテックジャパンの3社に、SAP HANAの真価を引き出す方策について改めて語ってもらう。
エンタープライズ・ソリューション統括本部
エンタープライズソリューション&アライアンス部
エンタープライズ・ビジネスデベロップメントマネージャー
香西 秀樹氏
プラットフォーム事業本部
ビジネス開発部
プリンシパルデータベースアーキテクト
花木 敏久氏
REALTECH-SAPコンピテンスセンター
テクニカルコンサルタント
福原 洋平氏
広がるSAP HANAユーザーの裾野
今回の鼎談には、デルのエンタープライズ・ビジネスデベロップメントマネージャー、香西秀樹氏と、SAPジャパンのプリンシパルデータベースアーキテクト、花木敏久氏、そしてSAP HANAのインテグレーションで豊富な実績を持つリアルテックの日本法人リアルテックジャパンのテクニカルコンサルタント、福原洋平氏が顔をそろえた。
SAP HANAの可能性と、その真価を引き出すためのソリューションを中心に、3氏の話は広範に及んでいる。以下、全容をリポートする。
香西氏(以下、敬称略):次世代ERP製品「SAP S/4HANA」のリリースで、SAP HANAの果たすべき役割がまた大きく広がろうとしています。そこで改めてお聞きしたいのですが、S/4HANAによってデータ・ウェアハウスを含むお客様のIT、データ活用をどう変容させようとしているのですか?
花木氏(以下、敬称略):SAPは現在、S/4HANAを「デジタルコア」と位置づけ、ビジネス現場で利用されるSAPのクラウドサービス群やIoT/ビッグデータ基盤とS/4HANAをリアルタイムに連携させ、企業・組織のデジタルトランスフォーメーションを加速させていくというコンセプトを打ち出しています。
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これまでのERPシステムは基本的に基幹業務を回すための仕組みであって、現場の実務にダイレクトに結び付いていたわけではありません。例えば、仕入れた部材をいくつかの工場に分配するにしても、その実務とERPシステムが直接的につながっていたわけではないわけです。それが今日では、さまざまなモノからデータを収集できるようになり、仕入れた部材がいつ工場に到着したかを中央で瞬時に把握することが可能になっています。
このように、「中央」と「末端」をつなぎ、経営・ビジネスを取り巻くあらゆる事象・状況をリアルタイムに可視化し、意思決定・問題解決のスピードアップや自動化、さらにはビジネスモデルの変革を実現していくのが、デジタルコアのポイントです。その中で、IoT/ビッグデータの基盤、あるいはデータ・ウェアハウスの基盤は、増大するデータのリアルタイム処理・分析の仕組みとして重要な位置づけにあります。
香西:そうしたデジタルコアの考え方を体現するような事例はすでにあるのですか。
花木:例えば、昨年9月に発表した田淵電機様のケースはその一つと言えるかもしれません。田淵電機様では、S/4HANAの採用によって基幹系データと各種機器のデータの統合的な管理とリアルタイム処理を実現し、人工知能(AI)による製造の自動化や生産・販売情報の分析による新しいビジネスモデルの構築を目指しています。
福原氏(以下、敬称略):当社が昨年手掛けたお客様の事例も、SAP HANAの優位性を示す一例です。
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この会社では、業務ごとに構築された縦割り型のシステムのデータベースをSAP HANAで一本化し、その際にはHANAマルチテナント機能により各システムの独立性を確保しつつ、それぞれの大量データをかけ合わせて複数業務を横断した多角的なリアルタイム分析の実現を目指しました。
また、当社が支援した事例としては、デルのケースもSAP HANAの活用例として特筆に値しますね。
香西:そうですね。デル自身も3年前にグローバルで130億件を超すレコードが蓄積され、前線の営業含めてデータ管理に多くの労力と時間が費やされていたのですが、ビッグデータ分析に最適なSAP HANA プラットフォーム、インテル® Xeon® プロセッサーを搭載したデルのSAP HANAアプライアンスおよびデルのBIツールを組み合わせて、オペレーションデータマート社内の共通情報基盤「BMS(Business Management System)2.0」を構築しました。このオペレーションデータマートによって、各事業部門などに分散しているデータも取り込み、複数の情報源に広がる数十億件のレコードで99%を上回るデータ同期率を達成、また、標準的なセールスレポートとダッシュボードを自動で作成できるようにし、非標準のレポートを50%削減するなど成果を上げてきました。このプロジェクトではすでに「必要なデータに対するアクセス時間の80%削減」、「予測・認知パフォーマンスの60%アップ」といったさまざまな効果をデルにもたらしています。リアルテックにはコンサルティングで構築に協力していただき、SAPの「SAP HANA Innovation Award 2015」も受賞しています。
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SAP HANAプラットフォームのアドバンテージ
香西:リアルテック様では、ドイツ本社にSAP HANAに関する学術的な研究やパイロットプロジェクトの参画などがあり、日本においてもかなり早い時期から取り組まれていたと聞いています。そこでお聞きしたいのが、システムイングレーターから見たSAP HANAのアドバンテージです。
福原:SAP HANAの強みは「Speed(高速)」、「Smart(スマート)」、そして「Scalability(拡張性)」の3点に集約できると考えています。SAP HANAは極めて高速ですし、将来予測などのスマートな分析も可能です。そのうえ、システムを柔軟に拡張していくこともできるので、投資対効果はますます高まっていきます。例えば、IoT等における膨大なストリーミングデータに対しても機械学習を用いた精度の高いアラートを即時に出すような活用方法があります。
花木:そうしたリアルタイム性は、「データが存在するところで分析・計算処理を行う」というHANAの設計思想によるものです。SAP HANAでは分析対象の生データをすべてメモリ上に持ち、その上で分析ロジックを走らせます。ですから、データ処理・分析にリアルタイム性がしっかりと確保されるわけです。
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