1号機、廃炉濃厚…調査団「直下に活断層」
原子力規制委員会は27日の定例会で、北陸電力志賀原発(石川県)の敷地内断層について、1号機原子炉直下に活断層が存在する可能性を盛り込んだ有識者調査団の報告書を正式に受理した。新規制基準では活断層の真上に原子炉など重要施設を造ることを認めておらず、北陸電が調査団の判断を覆すことができなければ1号機は廃炉になる可能性が高い。【柳楽未来】
規制委が報告書受理
北陸電は断層の活動性について否定しており、すでに始まっている2号機の安全審査の中で反論する方針だ。1号機についても今後審査を申請する。一方、規制委は調査団の報告書について「重要な知見」と位置付けている。北陸電が、報告書を覆す証拠やデータを示すことができるかが今後の焦点となる。
新基準は、12万〜13万年前以降の活動性が否定できない断層を活断層と認定し、その真上に原子炉などの重要施設を建設することを禁じている。報告書は、1号機の原子炉直下を通る「S−1断層」(長さ約780メートル)について「活動したと解釈するのが合理的」と、活断層の可能性を指摘した。
2号機に関しては、冷却用の海水を流す配管直下にある「S−2」「S−6」(同550メートル)の2断層について「活動した可能性がある」と判断した。活断層との認定が覆らなければ配管の移設や耐震補強など大規模な工事が必要となり、再稼働は大幅に遅れる見通しだ。
一方で報告書は「今回の評価は限られた資料やデータに基づいており、データの拡充が必要」と追加調査の必要性も明記しており、規制委は今後の審査の中で判断を確定させる方針だ。
志賀原発の断層について、規制委の前身の旧原子力安全・保安院が2012年7月、1号機直下の「S−1断層」が活断層である可能性を指摘し、規制委が引き継いで調査してきた。調査団は志賀原発を含む6原発について現地調査を実施し、日本原子力発電敦賀2号機(福井県)については原子炉直下に活断層があると認定。東北電力東通1号機(青森県)も敷地内に活断層があると認定している。
◇志賀原発◇
石川県志賀町にある北陸電力唯一の原発。1号機(54万キロワット)と2号機(135.8万キロワット)がある。1993年に営業運転を開始した1号機は、東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型(BWR)。2006年運転開始の2号機は制御棒の駆動方法などを改良した改良型沸騰水型(ABWR)。ともに11年3月から停止中。1号機では99年、定期検査中の原子炉が臨界になる事故があったが、隠していたことが07年発覚した。北陸電力は14年8月、2号機の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請している。