事故前にずれ認識…工事関係者が証言 神戸
神戸市北区の新名神高速道路の工事現場で橋桁が落下し、作業員10人が死傷した事故で、「橋桁の西側を支えていた土台が、事故前に約18センチずれていた」と工事関係者が証言していることが分かった。土台のずれなどが判明後、現場で関係者が対応を協議したが、作業を継続したという。地盤沈下などの影響で土台のずれが生じ、橋桁がバランスを崩した可能性があり、現場の対応に問題がなかったか、兵庫県警が捜査を進めている。
工事を発注した西日本高速道路によると、落下したのは上り線の橋桁で長さ124メートル、重さ1350トン。東端は門型クレーンでつられた状態で、西端はジャッキ4台と土台で支えていた。22日午後4時27分ごろに橋桁の西側が落下し、ジャッキも南側の2台が崩れていた。
関係者によると、東側の門型クレーンが約2センチ沈んでいることが事故前に現場の調査で判明。西側の土台も定位置より東方向に約18センチずれていることが分かった。さらに、落下していない下り線の橋桁も東側が沈んでいたという。
工事関係者らは、地盤が沈下したとみて対応を協議したが、作業は進められた。事故当時は周辺で約50人が作業し、死傷した10人は東西の橋桁の上や足場にいたという。
工事は、三井住友建設と横河ブリッジの共同企業体(JV)が請け負い、落下した工区は横河ブリッジが担当。下請けとして汐義(しおよし)建設工事(兵庫県尼崎市)などが関わっていた。
県警は関係者から事情を聴き、安全管理に問題がなかったか詳しく調べている。【矢澤秀範、山下貴史】