宮田エンブレム委員長、約束破り公表…圧勝の作品Aは「繰り上げ作品ではない」

2016年4月26日6時0分  スポーツ報知
  • 2020年東京五輪・パラリンピックの大会公式エンブレムを手にする作者の野老朝雄さん(左は宮田委員長、右は武藤敏郎事務総長)

 旧エンブレムの発表から9か月。ついに2020年の東京五輪・パラリンピックの新しい公式エンブレムが決まった。「A案」は1回目の投票で13票と他を圧倒。最終候補作4作が発表された際、一度落選した作品が敗者復活で繰り上げられたことに会見で質問が相次いだが、エンブレム委員会の宮田亮平委員長(70)は選考の詳細を明かさないという“約束”を自ら破り「(選ばれた)A案は繰り上げたものではない」と言及。「公明正大に選んだ。エンブレムを愛していただき、応援し続けていただきたい」と胸を張った。

 15回の会議を重ね、21人の委員と自信を持って選んだ大会エンブレムに、“疑惑の目”を向けられることが我慢ならなかったのか。最終候補作に「繰り上げ作品」があったことについての質問が出ると、普段から笑みを絶やさない宮田委員長が「何でそんなこと聞くかね…」と首をかしげながら、会場をグッとにらんだ。

 今月8日、最終候補4作品が発表されたが、組織委はその内訳として上位4点の採用候補と次点4点の計8点から商標調査を通過した3点に加え、一度落選した56点から1点を採用したことを明かした。発表のなかった繰り上げ候補の突然の出現は波紋を呼んだが、どの作品が該当するか発表しないとしていた。

 だが、宮田委員長は「(作品Aは)繰り上げた作品ではありません。それだけは、きちんと申し上げておきます」と断言。上位作品か次点作品の、どちらかについては明言を避けたが、選考の詳細は発表しないという決定を翻してまで、繰り返し強調した「透明性」にこだわった。

 宮田委員長は、旧エンブレムの審査委員だったグラフィックデザイナー・平野敬子氏が、自身のブログで「A案ありきのプレゼン」と指摘したのが世間にも広がっていたことにも苦言。「非常に腹立たしかった。誠心誠意、惑わされずに選びました。国民参画を無視したということもないし、ある流れで(意見が)動いたということもありません」とキッパリ。結果は「A案」が1回の投票で13票を獲得して圧勝。エンブレム委員の王貞治ソフトバンク球団会長(75)も「公明正大に選ばれたと胸を張れる」と後押しした。

 紆余曲折(うよきょくせつ)の経過をたどった今回の選考。「(選ばれたエンブレムは)大切なものをようやく見つけられたような気持ち。今は生まれたばかりの赤ちゃんですが、皆さんと一緒に子供のように育てていき、大会の時には世界にはばたいてもらいたい」。大役を果たし終えた宮田委員長は「何か寂しい気持ちもありますね」と安堵(あんど)の表情を見せていた。

 組織委は“プロ”による密室審査だった前回の失敗を反省し国民の意見を募集。8日の最終候補作発表以降、組織委には10日間で約4万人、のべ約11万件の意見が寄せられた。しかし、野老朝雄さんの「作品A」は“本命”ではなかった。総評を見ると、ポジティブな意見が大多数を占めたのは作品D。「日本らしさ」の印象が突出して多かったという。また、検索大手「ヤフー」の「Yahoo!ニュース 意識調査」には17万票余りの投票があり、作品Bが32・3%の支持を集めてトップ、作品Dが29・5%で続き、作品Aは最下位だった。

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