Amazonプライムビデオで観られるオススメ映画10作品 邦画編

はじめに

Amazonプライムビデオでなにを観たらいいのか分からない、という方のために2016年4月27日現在、会員が無料で観られる映画を10作品紹介します!

私は、監督から映画を探すことが多いので、好きな監督から選んでみました。Amazonプライムには入っていないかもしれませんが、この紹介した監督の別の作品もぜひ観てみて下さい!

奇跡

『海街Diary』や『誰も知らない』で知られる是枝裕和監督の作品。

両親の離婚によって、鹿児島と福岡に離れて暮らすことになった兄弟の、ひと夏の冒険。もともとボーイ・ミーツ・ガールを撮ろうとおもっていたのに、オーディションで主演のまえだまえだに出会って脚本を書き換えたそう。

傑作の多い是枝監督の作品の中で、私はこの『奇跡』が一番好きです。

小学生の橋本環奈ちゃんも出演しているので注目してみてください!

CURE

『岸辺の旅』、『トウキョウソナタ』の黒沢清監督作品。

首から胸にかけてX字型に切り裂く、という猟奇殺人が起こるのですが、現行犯逮捕された犯人は、なぜそんなことをしたのか覚えていません。犯人逮捕後も酷似した事件が発生し、不気味な連続殺人となっていきます。事件を追う刑事の高部(役所広司)は、やがて加害者が犯行直前に会っていたとされる男、間宮(萩原聖人)の取り調べをするのですが、虚ろな目で「刑事さん、あんたの話もっと聞かせてよ」と繰り返すばかり。しかし男と関わるうちに次第に周囲が次第に狂気に侵されていきます。

ずばり、人生で一番怖かったホラー映画です。ただし幽霊のたぐいはでてきません。「あの時はそうすべきだったと思った」という理由の殺人が連鎖していくだけです。この映画が怖いのは今考えると自分でもなぜそれをやってしまったのか分からないということを私も経験したことがあるから。幽霊より怖いです。

東京公園

『Helpless』『EUREKA』『サッド・ヴァケイション』(この3作は北九州サーガと呼ばれています)や『共食い』など理不尽な暴力の匂いがプンプンする映画を撮る青山真治監督の異色作。なにせ暴力はなく、出てくる人々はみな優しい、青春映画。

あらすじでは魅力を説明しづらい映画なので割愛しますが、映画だからできるメタファーや古い日本映画への愛に満ちた映画です。

ゾンビ映画が好きの天真爛漫な榮倉奈々が素晴らしい。映画好きはイチコロだと思います。

カナリア

『黄泉がえり』や『どろろ』の塩田明彦監督の作品。

個人的には上記2作品は苦手なのですが『月光の囁き』『どこまでもいこう』最新作の『抱きしめたい』、そして今作は大好きです。

テロを起こしたカルト教団ニルヴァーナ(オウム真理教がモデル)で暮らしていた少年、岩瀬光一 (石田法嗣)は児童相談所から逃げ出して、祖父に引き取られた妹を探しに東京を目指します。道中で援助交際をしていた少女由希(谷村美月)と出会い、共に旅することに。

『奇跡』と同じく少年少女の旅なのですが、全く様相が異なるひどく危なげな旅。受難の中にある子供たちがとても魅力的に映ります。個人的には谷村美月のベストアクト

そして大友良英の音楽、ZAZEN BOYSの主題歌など、音楽も格好いいです。

キツツキと雨

『横道世之介』そして新作『モヒカン故郷に帰る』が現在公開中の沖田修一監督作品。沖田監督は作品数は少ないですが、はずれなし。笑えて泣けるハートウォーミングな傑作を撮り続けいます。

職人気質の木こりの男岸克彦(役所広司)が、なぜかゾンビ映画に協力することに。この木こり、山のことならロケーションから天気までなんでも分かるので、停滞気味だった現場で大活躍。自信がなく頼りない新人映画監督の田辺幸一(小栗旬)も木こりと接するうちに少しずつ映画に前向きになっていきます。どんどん映画にのめり込んでいく木こり役の役所広司がとにかく笑えてチャーミング。

映画の撮影に関する映画には傑作が多いですが、これもその一本。天気に左右されたり俳優のコンディションを気にしたり、台本がギリギリまで決まらなかったり……と映画の現場の苦労がそのまま感じ取れるので、映画を撮ってみたい、なんて人にも観てもらいたいです。

冷たい熱帯魚

『愛のむきだし』『ヒミズ』で知られる異色映画監督園子温の「埼玉愛犬家連続殺人事件」をモデルにした作品。

熱帯魚店を営んでいる主人公(吹越満)は愛想のいい同業者の男(でんでん)と親しくなりますが、男は実は邪魔な人間を次々と殺す連続殺人鬼。しかも人心掌握術に長けており、いつの間にか主人公は殺人の共犯者に仕立て上げられます。

陽気に人を追い詰めるでんでんが凄まじく、怪演と呼ぶにふさわしいです。

百万円と苦虫女

『ふがいない僕は空を見た』『ロマンス』のタナダユキ監督作品。

ひょんなことから前科がついて、自分のことを誰も知らない場所が欲しくなったある女(蒼井優)。ひとところに留まると顔見知りができてしまうので、百万円貯まったら次の町へ行く、とルールを決めて転々と「自分を探さない旅」をします。

でもやっぱり、いく先々でいろいろな出会いがあって、振り切れない想いもあったり。

ちょっと変わった女の子が主人公のビターなラブストーリーをちょっと変わった女の子を演じさせたら右に出るものはいない蒼井優が演じる訳ですから、悪くなるわけがありません。

蒼井優が画面に映り続ける映画なので、蒼井優ファンは必見です。

苦役列車

『リンダリンダリンダ』『天然コケッコー』の山下敦弘監督が、西村賢太の芥川賞受賞作を映画化。

日雇い労働をしてその日暮らしをしている北町貫多(森山未來)はある日、専門学校生の日下部正二(高良健吾)と出会い親しくなります。変わり者の貫多にとって日下部ははじめての友達。しかも、古本屋の可愛い店番(前田敦子)と貫多を引きあわせてやったりする良い奴です。一時は3人で楽しい時間を過ごすのですが、不器用な貫多は次第に疎ましくがられ……。

山下監督は、青春映画を撮り続けている監督です。『天然コケッコー』のように「青春の瑞々しい一瞬」みたいなものを撮ることもあるのですが、どちらかというと憂鬱や退屈、焦燥や挫折のような満たされなさを描く監督だと思います。だからこの原作もピッタリハマるわけです。鬱屈した青春時代をおくっていた人間にはたまらない作品。山下監督の作品にはたとえ鬱屈していても、青春には人を惹きつける瞬間があるのだなあと思わせる力があります。

それにしても、歪んだ性欲を向けられてもキラキラしている前田敦子はやっぱりアイドルなのだなと思います。山下監督は前田敦子を主演に据えて『もらとりあむタマ子』も撮っているので、併せてぜひ。

舟を編む

『川の底からこんにちは』『ぼくたちの家族』の石井裕也監督作品。

馬締(まじめ)光也(松田龍平)は名前の通り真面目、というか融通が効かずコミュニケーションも苦手な男です。当然周囲ともうまくいかないのですが、言葉に対する感覚が鋭いことが分かり、辞書編集部へと移動になります。辞書の編集とは数万語の言葉を定義し、用例を集め、誤植を探したり整理していくという苦行のような仕事。完成までには数十年の長い時間がかかります。しかしこの地味な仕事が、馬締の天職でした。

自分の成すべき仕事をする人間は格好いいです。

馬締を馬鹿にしていた同僚の西岡(オダギリジョー)を始め、辞書作りにまっすぐ取り組む馬締に影響を受けていきます。ヒロインの香具矢(宮崎あおい)との不器用で古風な恋や部署存続の危機など山あり谷ありの、真面目な男の仕事人生。

今回オススメする10人の監督の中で最年少の32歳、今作を撮ったのは30歳の時でしたが、一人の男の生き様を描き切った手腕はもはや巨匠の風格

全ての働く人に観てほしい映画です。

ジャズ大名

存命の監督の作品で揃えようかとも思ったのですが、最後に大好きな岡本喜八監督の異色作。

黒人奴隷が幕末の日本に漂着し、音楽好きの大名にジャズを教えたところ、城中がジャズに夢中になって、戊辰戦争そっちのけでセッションに明け暮れるというお話。冗談抜きでこれだけの内容です。どんちゃん騒ぎを撮りたかっただけなのでしょう。ただし超カッコいいどんちゃん騒ぎです。薩摩につくか、長州につくかで揉めてる時にスウィングを選ぶのだから覚悟が違います。

岡本喜八はフォービート・アルチザン(4ビート職人)の異名を持つ、リズミカルで気持ちいい編集が特徴の監督。『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督も多大な影響を受けているそう。そんなエンタメ活劇のリズムがジャズにハマってます。ストーリーはあってないようなものなので気にしないで下さいひたすら映像にヤラレましょう。

もちろんこれは異色作なので代表作の『日本の一番長い日』や『肉弾』も観てみてください! ちなみに、私のイチオシは『斬る』です。

おわりに

なかなか大変でしたが、10作品だと書きたりないので、切り口を変えてまた書いてみたいと思います。次は古典編、洋画編かな!タイトルは絞れたのであとは書くだけです!乞うご期待!

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