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Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

Apple製品邂逅録 その3 iPad

Apple ガジェット Apple製品邂逅録

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大きいiPhone。

iPadが発表された時、まだ自分はiPhoneも持っていなかった。

iPhoneは、発売された時から欲しくて欲しくて仕方なかったのだが、残念ながらその頃のSoftBankの電波は、自分の住んでいる地域では本当に心もとなく、ハイスピードエリアも全く無い状況だった。なので、なかなかiPhone購入には踏みきれなかった。当然、iPadなど眼中になかった。

2010年の7月に、電波状況も良くなったとの確信を得たので、iPhone4を購入してその素晴らしさを味わうことが出来た。

特に心地よかったのは、勿論マルチタッチジェスチャーだ。

今ではもう当たり前になったマルチタッチだが、当時はそれはもう斬新だった。iPhoneが紹介されるニュースの映像では、iPhoneのわかりやすい機能として、写真をピンチイン・ピンチアウトで拡大縮小したり、スワイプで次の写真に送ったり、iPhoneを横にすると写真もクルッと横になる映像が使われていた。それだけマルチタッチやセンサーによる自動回転は新鮮なものとして映ったのだ。

そして、iPhoneをいじっているうちにムクムクと湧き上がってくる欲望があった。

「この操作をもっと大きな画面でやりたい。マウスめんどくさい…」

そしてついに、自分は初代iPadを手にしていた。

 

 

ポストPCだったiPad。

iPadを買ったのは、2010年の秋だった。10月頃だっただろうか。

iPhoneの場合、サイトによってはiPhoneに最適化されたページが表示される事があったが、iPadは殆どの場合PCと同じページが表示された。そして、そのページをマルチタッチジェスチャーを使って「触る」ことが出来る。

最初はiPadに電子書籍ビューアとしての機能を期待していたのだが、むしろWebを見るのが心地いい。自分が見たい大きさに拡大し、なめらかなタッチインターフェースで流れるようにページを見ることが出来る。思っていたよりずっと良かった。

更に良かったのがアプリだ。

自分はニコニコ動画をよく見るのだが、ビューワーアプリが幾つかストアにあった。あの頃は公式はあまり使えないアプリだったので違うのを使っていたが、なんだったのかはもう忘れてしまった。再生できない動画もあったが、それでもキッチンで洗い物をしている時にBGMとしてニコ動を流しておくなんてことが出来たのは楽しかった。

当時、PCはまだMacではなくCULVというものを使っていた。ひところ流行ったネットブックのあとに来ると言われた、ちょっとだけスペックのいいネットブックだ。Webサイトを見るだけならさほど苦にならないスペックのマシンで、50000円くらいだった。だが、iPadを買ってからはこのマシンの稼働率は大幅に下がった。

CULVでやりたいことくらいなら、iPadでも殆ど出来てしまうのだ。しかも、色々なデータをiPhoneと共有することが出来る。当時はまだiCloudなど無かった時代だが、それでもiPhoneとの親和性は高く、使いやすかった。

そこで気がついた。

ああ、ジョブズの言っていたポストPCってこういうことか、と。

 

 

iPadに見た夢。

だが、結局はiPadも後にMacBookProを買うと稼働率が下がっていった。まだiPadはポストPCの旗手ではなく、そもそもPCが置き換えられるのはタブレットですら無かった。大型化したスマートフォンだったのだ。世間がそれに気がつくのにはまだ数年要することになる。

それでもiPadを手にした時、たしかにポストPCの風を感じた。これが進化していけば、きっとPCなんていらなくなる。あんな電源を押してから何分も待たないと起動できず、正しい手順を踏まないと電源すら切れない装置がいつまでものさばっている筈がない。そう思っていた。

ストレージがSSDになり、OSがどんどん軽くなり、スペックは過剰に高くなっていく。そんな未来のPCは、iPadが持っていたアドバンテージをどんどん縮めていき、そしてついに10秒程度で起動する最新OSの時代が来た。

いま、iPadの売上は下がり続けているのだという。

スマートフォンが大型化し、ライトユーザーはそれでなんの問題もない。そして、ヘビーユーザーは(一部を除き)そもそも仕事に使えないiPadをアテにしていない。ポストPCを標榜したiPadは、いつのまにか帯にもタスキにもなれない中途半端な存在と化していた。

それでも、iPadは我が家では活躍している。以前より確実に稼働率は下がったが、iPadが無くなったら困るシチュエーションがかならずあるので、今では初代→2→Airと代替わりしながら活躍している。

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※こうしてみると初代iPadは厚い。当時は薄いと感じていたのだが…

娘がもっと大きくなったらきっと知育アプリが活躍するだろうし、今年で67歳を迎えた母は、ウチのお下がりのiPad2を使いこなしている。

たしかに売上は落ちているのかもしれない。

中途半端な存在かもしれない。

でも、ひょっとしたらこれが、ジョブズの言ったポストPCの世界なのかもしれない。

孫の写真を楽しそうにiPad2で見ている母の姿を見て、ふとそう思った。