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安保転換を問う 参院委採決へ 国民の納得には程遠い

 安全保障関連法案の参院審議をめぐる状況が緊迫している。与党は平和安全法制特別委員会での質疑を終結させ、採決に踏み切る構えだ。

     採決を前に自民、公明両党は日本を元気にする会、次世代の党、新党改革の3野党と付帯決議の内容などで合意した。安倍晋三首相をまじえた5党の党首会談も行われた。

     与党は合意を受けて法案採決の環境が整ったとアピールしているが、法案の本質は変わらない。国民が納得したとはとても言えない状態だ。

     16日の特別委員会は横浜市での地方公聴会を終えた後、最後の質疑を行うかどうかで夜まで与野党が駆け引きを続けた。与党が採決を強行すれば、野党側は内閣不信任決議案などを提出して抵抗する構えだ。

     5党合意は自衛隊の海外派遣にあたり、国会の関与を強めるため付帯決議や閣議決定などを加えるものだ。ペルシャ湾への派遣など、日本への武力攻撃に直接結びつかない集団的自衛権の行使にあたっては「例外なく国会の事前承認を求める」とし、派遣した自衛隊の活動を180日ごとに国会に報告する。3野党は参院会派で14議席を有する小党だが、この合意を受けて法案への賛成方針を固めたため、与党は単独での可決が回避できたと歓迎している。

     自衛隊を国会がどう統制するかは重要な論点のひとつだ。だが、法案修正によらない付帯決議には拘束力がなく、政府の閣議決定による裏付けも「適切な対処」とあいまいだ。日本への武力攻撃に直接結びつかないようなケースで国会が事前承認するのは当然で、合意によってチェックが徹底されるとは言い難い。

     そもそも合意は、憲法学者の多くから「違憲法案」と指摘される法案の根幹を修正するものではない。与党による単独採決と言われないためのカムフラージュというのが実態ではないのか。不十分な合意に応じた3野党の姿勢は疑問である。

     5党合意をよそに、与党と維新の党による修正協議は決裂した。不調に終わった衆院段階での協議と同様に、本気で接点を探る意欲が与党にあったとは思えない。本来であれば、法案の一部を分離することも含め、さまざまな選択肢を真剣に検討すべきだったはずだ。

     法案に反対する人たちが国会周辺で連日デモを行うなど、全国で抗議活動が広がっている。

     与党が18日中の成立にこだわるのは、週末や連休に入ると反対デモが一層拡大することを警戒しているためなのだという。世論を本当におそれるのであれば、採決の強行こそ見送るべきであろう。

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