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 最大震度7の揺れが2度襲った熊本地震の被災地で、寸断された水道網が徐々に復旧しつつある。ただ水源の枯渇や配水施設が損壊して断水が長期化しそうな自治体も少なくなく、復旧作業が順調とされる熊本市内でも、漏水によって各世帯まで届いていないという情報が寄せられている。26日で本震から10日経つ中、復旧状況は「まだら模様」なのが実情だ。

 マグニチュード(M)7・3を観測した16日未明の本震は水道管や配水施設に深刻な被害を及ぼし、熊本県内では17日朝時点で16市町村の39万6千戸以上が断水した。復旧は徐々に進んでおり、26日午前に断水は8市町村の1万6700戸にまで減少した。

 ただ、25日現在で断水が1千戸まで減ったとされる熊本市でも、市上下水道局が設けた「水が出ない方専用コールセンター」には、26日までに1500件の情報が寄せられている。水道管の破損による漏水が続いていることが原因とみられる。

 一方、配水施設や水源が地震によって深刻な打撃を受けた地域では、本震から10日経っても復旧の見通しがついていない。県内では26日現在、8市町村で断水世帯がある。被害の大きい自治体では、復旧の見通しが立っていないとしているところもある。

 阿蘇市では、上水道と簡易水道の2カ所で水源の地下水を配水池にくみ上げる直径10~25センチの送水本管が寸断。250~350トンをためる配水池4カ所が空になったままで、2千戸が断水している。14日夜の前震と本震で計20人が亡くなった益城町は、二つある配水池のうち一つで直径35センチの送水管が数十メートルにわたって大破して取水できず、約8500戸が断水したままだ。いずれも復旧の見通しは立っていない。

 大津町では、国の天然記念物の原生林を持つ北向(きたむき)山の水源が地震によって枯れた。山の中腹にある「畑(はた)水源」周辺は土砂崩れによって巨岩や倒木に覆われ、水源の湧き水の状態を確認できていない。ここから取水する配水池は16日から空になっている。

 同町の水源を管理する「大津菊陽水道企業団」事務局長の上野勝志さん(59)は24日に水源を訪れたが、「どぎゃんもならんばい。地下水の道が地震で『逃げた』のだろう」と話す。水源を失った約70世帯では断水が続き、同企業団では別の水源からの取水を検討するという。