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難民と欧州 受け入れを支えるには

 中東やアフリカの紛争地を逃れ、新天地を求める難民のうねりが欧州に押し寄せている。定住希望が多いドイツは受け入れ拡大を決め、欧州連合(EU)は加盟国に応分負担を求める制度作りを急いでいる。欧州が戦後最大規模の人道危機を解決に導くには国際社会の支援も必要だ。

     欧州に流入した難民・移民は今年すでに30万人を超え、昨年1年間の約22万人を大きく上回る。イタリアなどを目指して地中海を渡る密航船の遭難事故が相次いだため、最近はより安全な陸路でバルカン半島を北上するルートが多用されている。

     その通過点となるハンガリーで、ドイツ行き列車に乗り込もうとする数千人が駅に殺到し、鉄道輸送が大混乱に陥った。難民らは徒歩でオーストリア国境へ向かい、ハンガリー政府は急きょ輸送用のバスを用意した。先週末だけで1万人以上がドイツに到着したとされる。

     欧州では今夏まで、難民が殺到する「玄関口」のイタリアやギリシャに比べ、国内に反移民勢力を抱える他の諸国の対応は鈍かった。だが8月、オーストリアで保冷車に乗り込んだシリア難民ら70人以上が死亡する事件が発生。今月初めには地中海で遭難し、トルコの海岸に遺体で漂着した3歳のシリア難民男児の映像がインターネットやメディアで広まり、欧州の世論を揺さぶった。

     ドイツでは反移民勢力による難民宿泊施設への放火や暴動が相次いでいたが、メルケル首相はこうした動きを非難し、80万人の流入が予想される難民の半数を受け入れる覚悟を示した。消極的だった英国も、内外の圧力を受けて1万人以上を受け入れる姿勢に転じた。

     懸念も残る。ハンガリーなど中東欧の比較的新しいEU加盟国が受け入れ態勢の不備などを理由に負担義務化に反対し、欧州の足並みはそろっていない。シリアなどで難民を生む紛争が続く限り根本的な解決にはならないという悲観論も根強い。国際社会が結束して、欧州の取り組みを支えていく必要がある。

     日本にできることもあるはずだ。

     シリア難民を多く抱えるトルコやヨルダンなどの周辺国では難民の収容能力が限界を超え、欧州への流出を生む一因になっている。こうした国々への積極的な支援も国際平和への貢献と言えるだろう。

     「難民鎖国」と呼ばれる日本の閉鎖性を改め、紛争地からの難民を積極的に受け入れることも検討すべきだ。昨年、日本では約5000人が難民申請したが認定はわずか11人。人道的理由から在留を認めた例も110人にとどまる。

     この人道危機にどう対処するかは欧州だけの問題ではない。

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