FREQUENTLY ASKED QUESTIONS ON RADARS, JAMMERS, AND RWR
 レーダー・ジャマー・RWRに関する良くある質問の体系化を行いました。このセクションの前段部分において記された題材やコンセプトに関して、繰り返し問われるものについての幾つかの素材と解答を見つけることができるでしょう。このセクションはあなたの疑問に関して多くの情報を与えるべく、クイックリファレンス形式でデザインされています。お役に立てれば幸いです。

 リアリズムパッチの電子戦メカニズムについてより詳細が知りたい場合や、デザイン上の留意点などを知りたい場合には逐次、デザイナーズノートの中の" The Electronic Battlefield"をご参照下さい。

Why can't I detect any targets below me when I am flying the MiG-21 or F-5E ?
(MiG-21やF-5Eで飛行している場合に、自機よりも低高度にいる目標を探知できないのはなぜですか。)
 それらの航空機はパルスレーダーを装備しています。パルスレーダーが表示するのは生のビデオ反射波だけで、ルックダウン状況においては、地面からの反射波がレーダー反射波の大半を占めることとなります。このため目標からの反射波は地面からの反射波に覆い隠されることとなり、ルックダウン状況ではパルスレーダーは目標を探知できないのです。

Why does the target disappear when the it goes perpendicular to me, and also why does the radar lose the lock under such situations ?
(目標がこちらに対して直角に横切るように動くとき、レーダーから消えてしまうのはなぜです。また、このような状況のときにレーダーロックオンが外れてしまうのはなぜですか。)
 このような事態はパルスドップラーレーダーに関してのみ起こります。レーダーのタイプやモードに関しては" Radar Management"を参照ください。パルスドップラーレーダーは、一定条件以下の速度で移動している目標を消し去るためのドップラーフィルターを装備しています。パルスドップラーレーダーは目標からの反射波を探知するのにドップラー偏移を利用しています。ターゲットがレーダーに対し直角に動いた場合、ドップラー偏移は0に向けて減少します。このドップラー偏移の減少がドップラーフィルターの基準値(ドップラーノッチと呼ばれます。)まで達すると、レーダーはもはや正規の目標とは認識しなくなるため、追跡できずロックが外れるわけです。

Why isn't there an IFF in the game ?
(ゲーム上ではIFF機能は再現されていないのですか。)
Falcon4.0にIFF機能が無いのは、米空軍のF-16C/DにはIFF発信装置が搭載されていないという単純な理由によるものです。米空軍のF-16(更に言うならば州空軍のF16A ADF型も)は、発信装置に応答するIFF応答装置だけを搭載しており、他機に対して呼びかけを行うことができません。他の国で用いられているF16にはIFF発信装置が搭載されているものもあります。F-16A MLUやトルコ、ギリシャのF-16C/D Block 50、台湾のF-16A/B Block 20などです。

 副次的な誤りとしては、IFF装置が敵と味方を判別するということです。これは間違っています。IFF装置は味方と敵味方不明を区別できるだけです。IFFコードが合致していれば味方と判断されます。トランスポンダーのコードがマッチしない場合は、トランスポンダーの設定が間違っており機能していないか、誤ったコードで応答されているかです。それら全てについては、識別することができないため、IFFディスプレイには目標がアンノウンとして表示されます。目標が誤ったIFFコードを応答している味方機であっても、それが敵機であることと同等なわけです。もちろん交戦規則では、このようなIFF上の敵味方不明機を敵機とみなす旨定めています。この場合、技術的にはIFFはまだ目標を脅威として識別できていないわけです。これこそまさにROE(交戦規則が)が、未確認目標を脅威として扱うように定めている所以なのです。

How do I find out whether the target can detect me on its RWR when I am painting it ?)
(こちらがレーダー照射を行っている場合に、敵のRWRによってこちらが探知されたかどうかを知るにはどうしたらよいでしょうか。)
 オリジナルのFalcon4.0においてRWRは、全ての機体について標準的な装備で、360度の全週について、また全ての探知距離において100%の探知確率を有すものでした。RP4からは、異なるカバーゾーンと感度を有す数種類のRWRシステムが導入されています。(ESMシステムの組み込みも含みます。) 目標機があなたのレーダーを探知できる距離を知るには、RPドキュメント("F4_RP_Sensor_Properties.XLS"ファイルのRWRシート)で、目標機のRWRタイプを参照してください。このスプレッドシートには、RWRゲインとカバーゾーンが記載されています。 あなた自身のレーダーレンジを見つけるには、同じドキュメントのレーダーシートで自機のレーダープロパティを参照してください。この数値はフィートで与えられます。この数字を6,076で割れば海里表示の探知距離が得られます。この数値にRWRゲインを乗じれば、敵機のRWRシステムによって探知される距離が得られます。

Do RWRs recognize friendlies and foes ?(RWRで敵味方を識別できますか。)
 これはまったくの誤信です。RWRでは敵味方の識別はできません。RWRができることの全ては、レーダー放射を探知し、脅威ライブラリーと照合分類し、脅威に適合したトーンを発し、事前に定義されたシンボルを表示することです。RWRはレーダー放射のタイプを識別することはできるでしょう。しかし敵と見方を識別することはできないのです。もし相手が味方と同じ機種を使っていたならば、RWRはそれを識別できないでしょう。RP4におけるRWRはこのようにデザインされています。

 RWRは現実世界でも間違いを起こします。また放射タイプを識別する際の正確性は、脅威ライブラリーがどの程度うまくプログラムされているかによります。(つまり諜報とELINTがどれくらい優れているかということです。)また放射源がECCMモードに関してどれほど洗練されているかにもよります。現実世界では周波数の鋭敏さや振れがしばしばレーダー放射の識別を困難にします。

The RWR symbologies are not accurate !(RWRのシンボルが正確でありません。)
 デフォルトのマイクロプロ―ズのRWRシンボルは、細かな不正確さがあるものの、大変に正確なものです。
マイクロプロ―ズのRWRシンボルは、米空軍が実際に使用しているRWRシンボルに関しては、他の誰もが考えている以上に大変正確です。RP4はこの点を考慮し、その内容を変更していません。RWRシンボルは実行ファイルの中に組み込まれており、*hexエディット無しでは改良することができません。

 RWRがどのようにして旧型航空機と新型航空機を識別しているかと言うことに関し、Falcon4.0マニュアルの中でマイクロプロ―ズは誤った説明を行っています。RWRは新旧の航空機を見分けられません。RWRがレーダー放射を探知した場合、脅威ライブラリーによって適切なシンボルが、放射源の位置に表示されることはめったにありません。旧航空機のシンボルが新航空機のシンボルと入れ替わってしまう可能性は常にあります。ほとんどのケースにおいてシンボルは、RWRが認識したレーダータイプに基づいて表示されます。(すなわち、パルスレーダーかパルスドップラーレーダーかということです。)

 RWRシンボルの設定を変更したい場合は、F4browseというユーティリティを使えば変更が可能です。このユーティリティはRWRの脅威ライブラリーをプログラムする機能を与えてくれます。シンボルを変更するためには、関係するレーダーのRCDエントリーを開き、シンボルを変更してください。シンボルとトーンについては、当マニュアルの" The Electronic Battlefield"で解説してあります。

 シンボルがインナー脅威リングに表示される距離を変更したい場合は、RWRゲインの調整を行う必要があります。数値が低すぎれば、放射源が接近している場合に、シンボルはインナーリングを破ってしまいます。逆の場合もまた同様です。

*プログラム(実行ファイル)に対して抜本的な改良を加えること。

Can RWR be programmed such that friendlies are always outside the inner ring ?
(味方機が常にインナーリングの外に表示されるようにRWRをプログラミングできますか)
 前述したように、RWRは敵味方を識別できません。もし、放射源がいんなリングの外に留まるようにプログラムしたとしても、敵が同じ放射波であれば同様にインナリングの外に表示されることとなります。RWRはシンボルの配置を信号の強さに基づいて決定しています。シンボルをどこに表示する決定するための信号入力比較表に基づき事前決定がなされます。味方からの放射であろうと、敵からの放射であろうと、信号十分に強くなった場合に、シンボルをインナーリングに配置するのです。こういうわけで、現実世界では、味方の放射のみをインナーリングの外に位置させるようにRWRをプログラミングさせることは、不可能なのです。

 リアリズムパッチにおけるレーダーとRWRは、敵機が有効な交戦距離に達したときにインナー脅威リングに表示されるように調整されています。こういうわけで、インナー脅威リングの外にいる放射源はあなたと交戦できない距離にいるわけです。一方、インナ脅威リングの内側に位置する放射源は、あなたを交戦距離内に捕らえており、あなたにとって危険なものなのです。航空機に関してはこの距離は典型的なBVR兵装の射程を基に決められています。
Is the jammer working properly ? Why does it appear that it is working intermittently ?
(ジャミングは適切に機能していますか。なぜ、断続的に機能しているのに、表示されるのですか)
 ジャマ―の効果は、RP4より完全に刷新されています。マイクロプロ―ズのFalcon4.0コードでは、球状のECMカバーゾーンが設定されていました。ECMをオンにしている限り、全周域について効果を有していたわけです。しかしながら実際のECMシステムは、アンテナのビーム幅による一定のカバー領域を有しており、またダイレクトジャミングパワーも、ジャミングアンテナの向きに対する脅威レーダーの角度によって変わってくるのです。

リアリズムパッチの場合、ジャマ―は、機体のセンターラインから左右60度ずつ、上方15度、下方30度のカバーエリアを与えられており、ECMが完全に効力を発揮する範囲は、左右30度ずつ、上方5度、下方20度となっています。左右の30度から60度、上方の5度から15尾、下方の20度から30度の範囲では、ECMの効力は半減します。こういうわけで、ECMの効力をフルに発揮するためには、脅威放射源を有効カバーゾーン内に捉える必要があります。レーダーに対してビーム機動を実施した場合、ECMによるカバーは失われるでしょう。
.
Why do I not get any launch warning from the RWR when AIM-120, AIM-54 and AA-12 are
launched at me ?
(AIM120、AIM54、AA12を撃たれた時に、RWRの発射警告を受け取ることができないのはなぜですか。)
 RWRのミサイル発射警告は、発射プラットフォームがミサイル誘導状態へ移行することを探知したことをきっかけに発せられます。この移行はSARHと指令誘導方式のミサイルの場合にのみ行われます。アクティブレーダーホーミングミサイルは、いかなる誘導信号の移行も必要としません。必要とされるのは、ミサイルの飛行段階において目標の位置をアップデートするデータリンクだけです。しかしこれとて必ずしも必要なものではなく、飛行ルートを最適化し、ミサイルのPkを高めるためのものです。

セミアクティブレーダーミサイル(SARH)は、その誘導を連続レーダーイルミネーション波(CW)に頼っています。SARHの発射母機は、目標をCWイルミネーションでペイントしつづけなければならず、SARHはCWの反射によって誘導されます。このCWの波形は洞形の連続波で、ノーマルなパルスレーダーやパルスドップラーレーダー発信波とは異なっており、簡単に区別することができます。SARHミサイルが発射される場合は常に、CWイルミネーションが自動的にオンになるので、これが引き金となってRWRの発射警告ランプとオーディオトーンが発せられます。

 SA-2、SA-3、SA-8といった指令誘導方式のミサイルに関しては、ミサイル誘導レーダーが発する指令誘導伝送波と哨戒追跡レーダー伝送波を、たやすく探知・区別することができます。指令誘導伝送波がRWR発射警告の引き金となります。レーダー伝送波に関して言えば、通常のレーダー操作モードと同様です。このためRWRが受信するレーダーパルスの波形には何の変化もなく、発射警告の引き金とならないわけです。ミサイルが自律飛行に入ると、モノパルスシーカーからの伝送波は、通常のI/Jバンドの航空機レーダーと非常に良く似た、RF波形のパルスドップラー信号を発するようになります。これもRWRの発射警告の引き金とはなりません。こういうわけで、RWRがARHミサイル発射されたことを探知するのは、自律飛行に入った時であり、RWR上にミサイルシンボルが表示されます。

 以上に対して、ARHミサイルを発射する場合は、目標をレーダー照射する必要はありません。