抗日戦勝利70年 力の誇示が不安を招く
中国の「抗日戦争勝利70周年」を祝う記念式典と軍事パレードが北京の天安門広場周辺で行われた。軍事パレードは建国60年の2009年以来。「抗日戦争勝利」に合わせて実施されたのも外国首脳や外国軍を招いたのも初めてのことだ。
式典にはロシアのプーチン大統領や韓国の朴槿恵(パククネ)大統領ら首脳級を含めて約50カ国の政府代表団と、潘基文(バンキムン)国連事務総長ら国際機関の代表らが出席したが、安倍晋三首相やオバマ米大統領ら欧米主要国の首脳は参加を見送った。
多くの犠牲者を出した先の大戦を記念する行事に異論はなくても、軍事力拡張を誇示するようなパレードを嫌った国が少なくなかったとみられる。ウクライナ問題で対立するプーチン大統領との同席を敬遠した国もあっただろう。
中国は「特定の国家、今日の日本に対するものではない」と強調してきたが、「抗日」が主題では日本にとって心地のよいものではない。軍事が前に出ればなおさらだ。
中国ではよく「落後すれば、殴られる」という。アヘン戦争以来の近代の歴史で欧州列強や日本の侵略を受けた経験からの教訓だ。経済発展に励み、強国になることが国を守り、平和を守る最大の手段という認識につながってきた。
さらに国民党との内戦に勝利して政権を握った中国共産党には軍事力への信奉が根強い。習近平(しゅうきんぺい)国家主席が軍のトップとなって3年で初物づくしの軍事パレードに踏み切った背景には内外に軍権を掌握し、権力基盤を強固にしたことを示す狙いがあったと見られている。
しかし、国力が先進国に遠く及ばなかった時代ならともかく、今や米国に次ぐ世界第2位の経済大国だ。軍事力も急速に強化されている。力を誇示すれば、周辺諸国が圧力を感じるのは当然だ。そうした国際社会の懸念に気づいてはいるのだろう。習主席は式典で「兵員30万人の削減」を表明し、何度も「平和」の重要性に言及した。朴大統領との会談で日中韓首脳会談の開催に合意し、日本への一定の配慮も見せた。
だが、重要なのは実際の行動だ。パレードには複数の核弾頭を持つ大陸間弾道ミサイルや空母キラーと呼ばれる対艦ミサイルなど最新兵器も登場した。南シナ海で海洋進出を急ぐことと重ね合わせれば、中国の意図に疑問を持たざるを得ない。
「戦勝国」としての立場を強調することも式典の狙いだったとみられるが、自国の利益追求だけでは信頼は得られない。国際社会、地域全体の安定に貢献し、軍事力信奉を抑制することが中国の言う「平和」に説得力を持たせるのではないか。