
功徳を積みつつ、鉛筆を削る修行中。
チベット仏教の仏具に、『マニ車(まにぐるま)』というものがある。
柄のついた円筒で、中にありがたいお経が入っており、側面にはマントラというお祈りが彫ってある。
で、この筒を回すと、その回転数だけお経を唱えたことになるという、非常に便利なものである。
便利ついでに、この回転をさらに別のことに利用できないだろうか。たとえば、鉛筆削ったりとか。
マニ車は通販で買える
仏具を改造するなど罰当たりこの上ない話である。
仏様にはいずれ寿命が尽きた頃合いでおわびをしにいくとして、改造のベースとなるマニ車を探して購入してみた。
マニ車、サイズがいろいろあった。
探してみたというか、普通に「マニ車 通販」と検索すると、ネット通販サイトがいくらでも出てくる。ありがたい仏具がこんなに気軽に買えるとは、ありがたいことだ。
もちろんAmazonでも売ってた。ほんとになんでも買えんのな、あいつ。
中には、こんな感じでお経が巻物になって入ってる。
側面の分銅を振り回し、遠心力を利用して筒を高速回転させる。高速読経だ。
マニ車は、回転させるとお経を読んだことにしてくれる。とても便利な仏具である。
対して鉛筆削り器は、鉛筆をつっこんで回転させると鉛筆が削れる。とても便利な機械である。
同じように回転して便利になるんだったら、混ぜちゃえば一回転で二倍便利ということではないか。
簡単マニ車工作
モノの造りとしてはマニ車も鉛筆削り器もシンプルなので、工作自体はかなり簡単だ。
まず、マニ車の柄の部分を円筒の底から引き抜く。
さらに底の穴を鉛筆が通るぐらいまでドリルで拡張する。
柔らかい真鍮なので、簡単に穴が開く。電動ドリルいらなかったなー。
続いて、底の穴と鉛筆削りの穴がうまく合うようにくっつけたら、接着剤とパテでがっちり固定。
ここは回転力がいちばんかかる部分なので、回している最中にパキッと分解しないように固めておく。
これで今回の工作の8割ぐらいが完了。
最初は、マニ車の分銅を回した遠心力で鉛筆を削れないかと考えていたのだが、あの小さな分銅だけでは回転力が足りなそうだ。
ということで、マニ車の先端にハンドルをつけて、これを手で回すことにした。
ぶっちゃけ、昨年秋に発売された、カール事務器の新型鉛筆削り『
くるくるカールくん』のコピーである。
今回の新兵器、紫外線で硬化する液体プラスチック。UVライトを当てたら数秒でカチカチに固まる。高価だけど超便利。
ハンドルは、100均で売っていた小型の手回し鉛筆削り器からもぎとってくっつけたら、かなりジャストなサイズだった。
紫外線硬化樹脂とホットボンドで接着して、これで完成だ。
ありがたいぞ、くるくるマニ削り!
鉛筆を差し込んだら、かなり違和感のない仕上がりである。
分銅は消しゴムに差し替えた。これでさらに便利になるはず。たぶん。
ところで、いまこの記事を書いてるタイミングで「あっ、ここに三菱Uniを差し込んだら『ユニ車』って駄洒落が放り込めたのに!」と気付いた。
写真は、同じ三菱だが、たまたま転がってたNo.9800である。もったいないことをした。
いや、そんな駄洒落はともかく。鉛筆が削れて読経代わりにもなるというダブルでお得な機能は、間違いなく発揮できるはずだ。
さぁ、ありがたく鉛筆を削るぜ。
ちゃんと削れてる!ありがたい!
芯が折れた状態から23回転させるだけで、23回お経を読んだ分の功徳が積めて、シャープな芯先が復活した。
なんともありがたくて便利である。
あと、削り屑は、改造前にお経が収められていた部分にたまるようになっている。
というか、きれいに削れた削り屑がお経の巻物のように見えて面白い。
特にありがたくない削り屑。
このくるくるマニ削り、鉛筆キャップとして装着しておくこともできる。
いつでも鉛筆が削れて消しゴムもついているので、普段から持ち歩いておくと便利すぎるだろう。
後ろがすごい重くて持ちにくいけど、ありがたいんだから我慢するしかない。
マニ車で削った鉛筆で般若心経の写経をすると、もうありがたさが何倍になってるんだかわからないレベル。
とりあえず鉛筆写経の本を一冊買ってきたが、これ一冊をくるくるマニ削りを使って書き切れたら、もう来世は地球連邦の初代大統領ぐらいにはなれるんじゃないか。
最初は冗談で「ありがたいありがたい」と書いていたが、写経を始める頃にはけっこう本気で「あ、これありがたいなー」と感じるまでになっていた。
思ったより良い感じに工作ができあがったので、そんなテンションになってるんだと思う。
あと、念のためにサイズ違いで買っておいた小マニ車は、
以前にやった記事のノウハウを活かしてボールペンにしておいた。無駄な記事も何かの役に立つものだ。ありがたい。