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#Skylandventures LAB

Looking for Young Tech Geniuses

「組織は人なり」「誰よりも本気で組織にコミットする」カウモ佐藤氏が語る人事責任者の役割

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今回で第4弾となった注目のスタートアップ・カウモのメンバーに仕事に焦点をあてた本企画。非常にエネルギッシュな取締役CHRO(最高人事責任者)の佐藤氏に話を聞きました。

持ち前の情熱と男気で、平均年齢23歳という若いチームを支えるカルチャーを作ってきた佐藤氏。カウモに興味がある方はもちろん、CHROという仕事が気になる方は必見です!

■当シリーズの記事も合わせてご覧ください

第1弾 : 取締役COO 和田崎氏

「とにかく全部やれるって嘘ついてました」2ヶ月に1回事業を立ちあげ続けた、カウモ取締役COO和田崎達也氏の働き方(前編) 

「エレベーターホールで寝てしまっていた時もあった」スタートアップの成長期の過ごし方、カウモ取締役COO和田崎達也氏の働き方(後編) 

 

第2弾 : 編集部を率いるSEOディレクター 水島氏

やめ方がわからなかったから実力を付けるまで走り続けた、カウモ編集部を率いるSEOディレクター水島悠介氏の働き方(前編) 

SEOは泥臭い 担当者になってサイト訪問者数を倍にした、カウモSEOディレクター水島悠介氏の働き方(後編)

 

CHROの仕事とは

--CHROという役職があるスタートアップってわりと珍しいですよね。

そうですね。シリコンバレーではCFO、CHRO、CEOで3人で会いましょうみたいなの最近結構あるらしいんでけど、国内のスタートアップでは珍しいかもしれないですね。まあでも、要は人事の責任者っていう感じですね。

 

-- 具体的にはどんなことをするんですか?

 

今1年半くらいの会社なのですが基本的に今って組織化されてないんですね、カウモは。今までずっとカオスで、組織図もなければぐっちゃぐちゃにやってたんですけど、さすがにそろそろ無理だよねっていうことで、組織化をしていくっていうようなフェーズでして。

それぞれの役割や、制度。例えば人事評価とか、教育面の仕組みとか、採用面とかを1つ1つ整えていくっていうような具体的な仕事になります。

 

-- 例えば具体的にこんな目標を持っているとかってあります?

 

今取り組んでいる仕事はまだまだ雑多な感じで、たくさんの手を打つのが仕事になっていて、KPIに落とし込みしづらいことも多いです。

採用計画とかならどういう人を何人採用するみたいのは数字化して追えるんですけども、部屋のオフィスのレイアウトを電球1つ変えるにしても、働き方とか雰囲気とかって変わるじゃないですか。 それによってパフォーマンスが上がるか上がらないかっていうのは結構評価しづらい部分だけど、めちゃくちゃ重要。

オフィスの日光の入り方とかを、僕は毎日めちゃくちゃ考えながらやってたりします。光の射し方1つでみんなの働くモチベーション変わったりするんで、ちょっとした細かい仕事1つ1つの積み重ねですね。

 

-- それもCHROの仕事に含まれるんですね。

 

そういうのも全部やります。ワークプレイスの改善もやれば、人事評価もやれば、カルチャー作りもすべて仕事です。

ビジョンとかバリュー、まあ行動指針と言われるものですけど、そういうものを定めつつ、同時に制度・風土・環境などをひとまとまりにして、我々のカルチャーを作っていくっていうのがCHROの仕事です。

組織全般を設計することが役割ですね。

 

-- その中でも特に今注力していることはなんでしょうか。

 

今時間を使ってるのは、人材ポリシーの作成ですね。

どういう人がカウモらしい人で、これからどういう人たちを採用して、どういうふうに育成していくかっていうのを考えています。 カウモの採用像というか、人材像みたいなものを浮き彫りにする作業です。

あとは取締役としてコーポレート側の業務も結構あります。中期計画、定量的な数字からどのようにお金をかけてドライブしていくのかみたいのは、今も見る人はいないのでそこはちょっと見てますね。

カウモの売上とか固定費とか変動費とかを踏まえながら、カウモCEOの太田和光が描いた絵に向かってどう進んでいくのか、言語化・具体化してメンバーに伝えていくっていうのも最近やっています。

まとめるとコーポレート業務全般をやっている感じですね。人事的な役割がめちゃくちゃ大きいですが、バックオフィス的な労務・法務といった業務も担当している人間が今いないので、そこら辺も全て巻き取るのが僕の仕事です。

 

CHROとして成果を出すために必要な3つのこと

 

-- かなり多岐に渡っていますね。なかなか数値で測りづらい部分も多いと思うのですが、CHROとして成果を出す上でどういった点が重要になるんでしょうか。意識していることというか。

 

個人的には3つくらいあるなと思っていて、まず社長の経営の意思をいかに汲み取って反映できるかっていうところですね。

 

こういう世界にしたいっていうのはあっても、それが結構抽象的だったりしますよね。特に10年後とかのビジョンとかって。 そのビジョンを達成するために、例えば今日どうするのか、どうあるべきなのかを具現化・言語化する力ですね。

 

それを行動指針だったり、細かい制度や環境作りに反映して、カルチャーに落とし込んでいくというか。 社長が思うことをいかに体現できてアウトプットできるか、というのはすごい重要でスキルだと思っていてすごく意識しています。

 

-- まさに現在注力されている仕事に関わってくる部分ですね。

 

はい。そして2つ目に、経営者視点ですね。

基本的に数字に落としづらい仕事なので、いかに経営的な観点を持っているかどうか。電球1つを変えるにも、会社の売り上げを上げることに繋がるからこの電球を変えるんだよ、みたいな観点は常になくちゃいけないのかなあって思っていて。

経営思考みたいのがないと採用すべき人とかもブレてきたりしますし。 ほんとカルチャーは生き物なんですよね。何かこう、ほんと化け物なんですよ。

 

-- カルチャーは化物というと?

 

何かだるさとか、「いやだりーなあー」みたいなのとか、「もう働くのやだよ」みたいな雰囲気が蔓延しちゃうと一瞬で組織崩壊しちゃうんですよね。

基本的に僕らって、熱狂とか覚悟とか熱意とかそういうもので集まってるんで、それってなかなか同じ環境は他に無いなと、もう言葉にはできないような何かで繋がって、集まってるわけですよ。

そういったメンバーが集まった時に、どういうカルチャーを作るかっていうのはすごく重要で。中期的な経営戦略もそうですし、最終的に達成したい目標もそうですけど、カルチャーを作る上でも経営的な観点を持たないと、もう意味不明なカルチャーを作ってしまうと、そういう組織になってしまう。

だからこそ常に経営的な視点から、採用・教育・制度・風土・環境みたいのを作れるかっていうのは、いつも考えてながらやっています。

 

-- なるほど。3つ目はどんなことですか?

 

3つ目はディティールにどれだけこだわれるかっていうところかなと。

CHROの大きな役割である採用とか、文化作りとかってディティールがすごい重要になってきて、例えば「てにをは」だったり、言葉1文字違うだけでも伝わり方が変わってくる。 そういう細かいところを一個一個ちゃんとチェックして、こだわっていけるかだと思いますね。

 

義理や人情を欠いてしまっては男に生まれた意味がない

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-- なるほど。カウモに入る前から人事の仕事は経験されていたんですか?

 

いや、全くやってないですね。

 

-- ではカウモに入ってから?

 

カウモに入ってからですね。

 

-- カウモに入ったのはいつ頃ですか?

 

カウモは去年の4月、ちょうど1年前です。

 

-- 入った当初はどんな仕事をされていたんですか?

 

最初は新規事業の立ち上げでした。

そもそもカウモに入ったきっかけが和光に一緒にやらないかと声をかけられたことからなんですが、その時にカウモの方向性だったり、お互いのバリューについてディスカッションしたんですね。

というのは、和光とは18歳の時からの友人だったんですけど、友人として仕事をするのは普通難しいなと思っていて。なので最初声かけてもらった時も一発でオッケーという形ではなくてかなり話合ったんです。

その時には「お前には500万円渡すからそれで新規事業作って欲しいと。それ別にぶっ飛ばしてもいいから一緒にやろう」っていうふうに、あいつは言ってくれたんですね。 そういう思いに対して背くっていうのは、もう男に生まれた以上ありえないなと。義理や人情っていうのを欠いてしまっては男に生まれた意味がないと思って。

こいつの思いに乗らないわけにはいかないなっていう、お前の心意気に乗ったぞっていうところから、僕はカウモに入ったんです。

 

 

-- すごいアツいですね(笑)義理や人情。

 

まぁそういう流れで入ったので、最初の仕事は500万円で新規事業作ろうっていうことだったわけです。

ただしばらくは新規事業をやっていたわけなんですけど、それよりもカウモの主軸な事業であるメディアをいかに急成長させるかということの方が、結果として彼の思いに応えることができるなと。

そこで新規事業を一旦閉じて、メディアをやっていこうって。 それで和田崎たちと一緒に編集部立ち上げをやりまして、編集部立ちあげが落ち着いたタイミングで僕は営業の仕事を始めました。

 

-- 営業というと広告関連ですね。

 

そうです。広告営業として広告代理店開拓をしました。代理店さんを回ってあいさつして、開拓していって。開拓できたらいろいろな案件をもらったりしてといった形で、広告運用をしていた時がありました。

そうこうしている時に、やっぱり経験も少ない若い会社なので、メンバーが10人とか20人くらいで組織的な課題がちらほら発生するようになったんですね。

「組織は人なり」と言うくらいなので、そこは人に対して熱くぶつかっていく人間が、組織に対してコミットしなくちゃならないなあっていうことを思って。その時から僕が人事的な役割をやるようになりました。

 

メンバーから言われた、「カウモがどういう方向に向かっていっているのかわからない」

 

-- 組織的な課題が発生したというと、どんな課題があったんですか?

 

そうですね、本当に山のように課題があるんですけど、例えば基本的にやっぱりみんな経験が少ないので、今やっていることがどう会社に貢献しているのか、自分たちがどのような方向に向かっていけばいいのかわからず、不安になってしまってたんですね。

なので、こういう方向に向かっていくんだよっていう会社の道筋をきちんと示さないといけないっていうのがまずありました。

 

-- 会社の道筋というのは、事業の方向性みたいなものですかね。

 

はい。事業の方向性をどう示してあげられるか。艦はどういう方向に向かっていくんだ、みたいなところを明確にしてみんなの目線を1つに合わせてあげて、向かう方向を1つにする。基本的なことではあるんですけど。

そのために組織化というか、仕組みを1つずつ作っていくことが必要でした。それまでが自由過ぎたんですよ。だから枠組みを明確に規定するわけですね。枠組みを規定した上で自由をセットで与えるわけですよ。

そうするとみんな、あ、俺のやるべきことはここだってなるっていう。今まではみんな、1つ1つの業務はプロフェッショナルだったんですけど、役割において任せられてる業務とか責任の所在が明確じゃなかった分、悩んでしまってたんですよね。

そこを整理してやるべき責任と職務っていうのを明確にして、かつ会社として進むべき方向を示してみんなの目線を合わせて、その方向に向かって進んで行こうっていうのが必要だったっていうか。

 

-- メンバーが不安になってしまっていたという話がありましたけど、それはどのように把握していったんですか?

 

僕が人事的な仕事を始めた時に、全員と1on1のミーティングをしたんです。

どういう課題を感じますかとか、働いて楽しいですかみたいなことをやり取りする中で、いろいろなみんなが抱えているものっていうのを洗いざらい出してくれと話をして。 その時はやっぱり自分自身、心折れるようなものも結構ありました。みんなこういうことで苦しんでいたんだと。

 

-- 例えばどんな課題や悩みが?

 

例えば、まあさっきの話ですけども、カウモがどういう方向に向かっていくかわからないとか。

今はそういう課題が全部解決され、向かうべきビジョンもありますし、それに向かうための中期計画もありますし、働き方のバリューもありますが。

何もかも未来からの逆算で今何をすべきかということがきれいにわかったので。 それと同時にシステムですね。みんなの心意気と覚悟っていうのをしっかりその進むべき方向に合わせて、120%でアウトプットできるような仕組みを作るっていうのを重点的にやって。

これから運用計画だったり、さらに組織を強くしていくためにはどうすればいいかっていうのを考えられるようなことになってきました。

 

-- その人事としてしんどかった時期はどうやって乗り切ったんですか?もともとそういった課題に対する経験があったわけではないというお話でしたが。

 

基本的には手探りなんですけど、今はソフトバンクやグリーの人事経験を持つ人事顧問の堀尾さんに数ヶ月前に縁があり参加してもらい、堀尾さんとコミュニケーション取りながら今はいろいろ教えてもらってる部分もあります。

ただゴールデンメソッドというか、これをやればどんな企業でも100%上手くいくよっていうものがあるわけじゃないですよね。

組織の課題って100社100通りあるので、もちろん基礎となる考え方やフレームワークはありますが、それをカウモ流に、どうアレンジしてアウトプットしていくのか、みたいのは僕が考えなきゃいけないですし、僕しか答えを持っていないので。僕なりの答えを堀尾さんのアドバイスを融合させて、アウトプットしていくというのをやっています。


(後編に続く)