パリ協定署名式 発効への熱意示された
京都議定書に代わる地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の署名式が、ニューヨークの国連本部で開かれた。温室効果ガスの2大排出国である米国と中国や日本など世界175カ国・地域が参加した。国際条約の署名式としては過去最多だ。協定の早期発効に向け、世界各国の熱意が示されたといえる。
署名式のあった22日は、地球環境について考える「アースデイ」で、世界各地で環境関連のイベントが開かれた。パリ協定もテーマとなり、その意義を多くの人々が再認識することにもなったはずだ。
パリ協定は、昨年末に開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択された。
産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えるため、今世紀後半には温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを打ち出した。同条約に加盟するすべての国・地域が自主的に削減目標を作り、国内対策を実施することを義務づける。各国は削減目標を5年ごとに見直し、世界全体の進捗(しんちょく)状況を検証する。
協定への署名は、こうした内容に賛同することを意味し、各国は国内での批准手続きに入る。
協定の発効条件は、55カ国以上が批准することと、批准国の温室効果ガスの排出量が世界全体の55%以上になることだ。世界の温室効果ガス排出量の4割を占める米中2カ国の動向が鍵を握っている。
両国は今年3月の首脳会談で、年内にできるだけ早く国内手続きを終えるとする共同声明を発表した。約束は守ってもらいたい。
COP21に合わせ、各国が提出した削減目標を足し合わせても「2度未満」は達成できない。異常気象の頻発など温暖化の影響は各地で表れている。パリ協定の発効で、各国の削減目標を高めていく仕組みを早期にスタートさせることが肝要だ。
日本は温室効果ガスの排出量を2030年までに13年比で26%削減する目標を掲げた。実現の裏付けとなる地球温暖化対策計画を近く閣議決定する予定で、パリ協定批准の準備がほぼ整う。
日本の温室効果ガス排出量は世界全体の約4%を占める。批准手続きを速やかに進め、早期発効に貢献すべきだ。
5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で日本は議長国となる。安倍晋三首相は、温暖化対策計画案のとりまとめに際して、「主要国が能力に応じて排出を減らすよう国際社会を主導する」と述べた。
先進国の批准が遅れれば、インドやブラジルなど新興国の取り組みに水を差しかねない。サミットでは、パリ協定を早期に発効させる必要性を内外に発信してもらいたい。