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【東京】

ハンセン病「特別法廷」報告書 「謝罪にもなってない」語り部の平沢さん怒り

 「これでは謝罪にもなってない」。東村山市にあるハンセン病の国立療養所多磨全生園の元自治会長、平沢保治さん(89)は、かつて患者の裁判を行った「特別法廷」について二十五日、最高裁が出した調査報告書に怒りをあらわにした。  (石原真樹)

 平沢さんは国立ハンセン病資料館の語り部。二十二日に突然訪れた最高裁の寺田逸郎長官を案内した。

 報告書公表で最高裁は謝罪の意を示したが、法廷が非公開だったとは言えないと違憲性を認めなかった。療養所正門に「告示」を出したというのが理由だ。

 平沢さんは「火事が起きても消防車が療養所に入らなかった時代、告示を貼っても外の人は近づかない。入所者が見に行けば、逃亡だとされる。何が『公開』か。これが憲法違反でないとしたら、憲法の下で何でもできる。何の検証にもなっていない」と話した。

 寺田長官は、反抗的な態度の入所者を監禁した栗生楽泉園(群馬県草津町)の重監房の展示も資料館で見た。「狭くて暗いですね」などと話し、一時間かけて館を見学したという。

 平沢さんは「語り部は歴史を伝えるのが役目」と、特別法廷について意見を交わさなかったが、熱心に展示を見る姿に好感が持てたという。「だからこそ余計に許せない。あれはアリバイ作りだったのか」と声を荒らげた。

 全生園に本部のある全国ハンセン病療養所入所者協議会の藤崎陸安事務局長(73)も「報告書は到底受け入れられない」。「法廷の設置をいとも簡単に事務方に投げた背景に何があったのかに踏み込んでない」と指摘した。

 

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