BUSINESS
「ナイキ×ジョーダン」のバッシュに終焉 「アンダーアーマー×カリー」の時代がやってきた!
PHOTO: THEARON W. HENDERSON / GETTY IMAGES
数々の伝説を残したNBAのスター選手マイケル・ジョーダンが“天才プレーヤー”として知られる一方、その真逆の“努力家”としていま騒がれているのが、ゴールデンステート・ウォリアーズのステファン・カリーだ。
カリーは2015年にチームを優勝に導き、年間MVPを獲得。今シーズンは、ジョーダンが往年所属していたシカゴ・ブルズのレギュラーシーズン最多勝記録の73勝を、チームとして約20年ぶりに更新した。
ナイキはNBA選手の約4分の3を広告塔として抱えているといわれ、これまでもエアジョーダンシリーズなどで「バッシュ界」をリードしてきた。しかし2013年、カリーはナイキとの契約更新をせず、一方でアンダーアーマーと契約を結んでいた。
実はその理由は、「ナイキのカリーに対する扱いの悪さにあった」、と米「ESPN」などが報じている。元NBA選手でもあるカリーの父親は、ナイキとの契約更新時のミーティングをこう振り返る。
「息子の名前のスペルが誤って書かれていた。それに、パワーポイントの資料は使い回しだったよ。ほかの選手の名前がまだ残っていたからね。
ナイキが息子のことを大切に扱うことはないのだろうと悟ったよ」
アンダーアーマーはブランド力や売り上げでナイキには劣るものの、カリーのおかげで2015年の靴部門の売り上げは前年比で57%上昇。
彼の名前を施したシリーズも好調で、バスケットボールシューズのカテゴリーでは355%も伸びた。アンダーアーマーは、カリーと2024年までの長期契約を結んでいる。
彼はバスケットボール選手として飛び抜けた体格を持ち合わせているわけではない。しかし日頃から、「大事なのは、成功のために努力し続けることだ」などと話し、ファンの心を摑んできた。
その姿がアンダーアーマーの地道なブランディング活動とも重なって、いま実を結んでいるようだ。