IFRSが引き金?
別の保険業界関係者は、「IFRSの導入が引き金になった」と見る。
IFRSとは国際財務報告基準のことだ。韓国の保険業界は、2020年からIFRSを導入することになっている。
IFRSが導入になると、時価会計基準を採用することになる。韓国アリアンツは、第一生命時代から予定利率が7~8%もの保険商品を販売しており、発生する損失を時価で処理しなければなくなる。
別の保険業界関係者は「IFRSを導入すると、巨額の欠損が出ることが確実で、これをにらんで、早めに韓国からの撤退を決めたのではないか」と見る。
それにしても、1兆ウォン以上を投じて35億ウォンで売却するとは、よほど急ぐ事情があったのだろうか。
安邦保険の登場
買い手になったのは、世界中で金融会社やホテルなどを買収している安邦保険だ。最近では、世界的なホテルチェーンである「スターウッド」の買収合戦に乗り出して話題になった。
韓国メディアは、韓国アリアンツの売却価格は2000億~3000億ウォンと見られていたが、電撃的に安邦保険に35億ウォンで売却することが決まったと報じている。
その事情は、他に買収に関心を寄せていたのがファンドで金融当局の許可が得られるか微妙だったからのようだ。
安邦保険は2015年に東洋生命を1兆ウォン以上で買収している。金融当局の審査をクリアした「実績」がある。独アリアンツは、早期決着を狙って35億ウォンで売却を決めたようだ。
韓国の保険、産業界で大きな話題になっているのは、1つは、1兆ウォン以上を投じて35億ウォンで売却という、珍しいケースに対する単純な驚きだ。