2007年、米連邦下院で慰安婦決議案が満場一致で採択されたのは、旧日本軍に強制連行された慰安婦たちが、戦時の女性の人権を踏みにじるという人類史に記録・警戒すべき戦争犯罪であることを米議会が認めたからだった。昨年は光復(植民地支配からの解放、日本の敗戦)70周年にして初めて迎える女性人権の日(3月8日)を前後して、慰安婦強制連行の惨状を証言するため、元慰安婦たちの訪米が相次いだ。はるばる遠くから米国まで来られる元慰安婦が数人となった状況で、2人の証言は人類の貴重な資産だ。ところが、これら元慰安婦たちの活動に、韓国の政治家たちが出しゃばり、眉をひそめさせるような出来事がたびたびあった。ニューヨークのある市民団体幹部は「韓国の政治家たちが米国に来てこうした活動をしていくと、その後に必ず日本の政治家たちから慰安婦碑撤去運動のような反撃が続く。写真がひとたび韓国のメディアで報道されれば終わりというような軽率な行動は遠慮していただきたい」と言った。
ホロコーストが「脱政治」、和解、人類普遍の人権問題へと昇華していったのは、次元の低い紛争から脱したためだ。もちろん、過去の過ちを痛烈に反省し、後世にしっかりとした教育をするドイツと、反省どころか歪曲(わいきょく)と陰湿な攻撃を日常的に繰り返す日本を同じ次元で見なすのは難しい。しかし、韓国人は日本の低俗な戦略に巻き込まれてはならないのと同様、韓国国内において政治的利害・打算に慰安婦問題を利用されることにも警戒しなければならない。