民進党の山尾志桜里(しおり)政調会長が今月6日に開いた会見では、疑惑の“ガソリン代地球5周分”だけでなく、本誌(「週刊新潮」)が報じた電子メールについても述べていた。発信元を米国ニュージャージー州とする迷惑なショートメールを愛知県下の自民党市議が受け取ったのは、14年11月のことだった。それは上の写真のように、

〈枝野幹事長来る!〉

 と、総選挙における応援弁士の来訪を宣伝するもので、文末には山尾事務所の電話番号もある。それからというもの、
「20通近く変なメールが届きました。山尾さんに“メールを送ってほしい”なんて頼むはずもないし。だいたい、〈当選に向け!人手が足りません〉て言われても、こっちが手伝うとでも思っているんでしょうか。私のみならず我が党の仲間にも、一方的に送られていたんです」(当時を知る事務所関係者)

 挙句には、選挙期間中に「期日前投票」の依頼メールまで届く始末(写真1)。この点を地元選管に確認すると、

「公選法違反にあたり、2年以下の禁錮または50万円以下の罰金が科せられる」

発信元を米国ニュージャージー州とする迷惑なショートメール

 以上のことから推察されるのは、名刺交換などから知り得た個人情報の一切合財を登録し、一斉送信していた疑いだ。政調会長ご当人は会見で、送信元は自身の陣営だと認めたうえで、
「後援会名簿に手違いがあり、同意を得ていない方々が混ざっていた(中略)ショートメールには連絡先として事務所を表示していた」

[写真1]選挙期間中に「期日前投票」の依頼メール

 と弁明したのだが、当時の秘書の携帯電話番号を記載したショートメール(写真2)も見つかっている。

 再び選管に聞くと、

「事務所の連絡先を表示していたのみでは不十分であり、これも公選法の規定に違反します」

■“拠点が借りられた”

 ――続けて山尾氏は、選挙区内の瀬戸市にある「さくら館」に関して説明したが、これも物足りなかった。

 13年3月にできたこの施設では、「さくら塾」と称したイベントを主催、歯科医や書家など幅広い層を講師として、地元民を聴衆にそれぞれ招き、飲食を提供している。ときには1人5000円の会費を募って旅行へ出かけることもある。これらは支援者を獲得するための「純粋な政治活動」ゆえに、報告書に計上すべきだと本誌は異議申し立てを行なっていた。

[写真2]秘書の携帯電話番号を記載したショートメール

 これに対して彼女は、

「指摘を受けるまで、さくら館が総支部や後援会の事務所であるという認識に欠けていた」

 と主張したが、さる民進党議員はこう証言する。

「さくら館ができる前年12月の総選挙で山尾は落選。その選挙総括では、『瀬戸の票田の重要性』を訴えている。瀬戸で票を伸ばせるか否かが当落の鍵を握っているという見方で、それは仰る通り。さらにそのあとの地元の幹事会で、“瀬戸に拠点が借りられた”とも言っていた。しかも貸してくれたのは当時の後援会長なんですよ」

 それに加えて山尾氏のブログをさかのぼると、さくら館が「瀬戸事務所」としてオープンする旨ならびに、門前に佇む彼女の写真が確認できる。その表情から察すると、あたかも花筏を愛でるような充実感に満ちている。要するに、さくら館を拠点に政治活動を行なっていたと見るほかなく、ならばさくら塾の内実と併せて、報告書に収支を記載する義務があるはずだ。

民進党の山尾志桜里政調会長

「特集 ガソリン代は地球9周分! 法と証拠に基づかず秘書をワルにして居座り! 民進党『山尾志桜里』政調会長の嘘と政治資金ミステリー」より

「週刊新潮」2016年4月21日号 掲載