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維新割り新党 苦し紛れの橋下流では

 野党、維新の党を離党した橋下徹大阪市長が国政型の新党を発足させることを表明した。新党には国会議員約20人の参加が見込まれ、党の分裂が確定的になった。

     二重構造を抱えていた党の実質破綻とはいえ、説得力のある大義名分も見当たらないまま、分裂を主導した橋下氏の行動は節度を欠く。政党再編を繰り返すことで、自らの浮揚を図っているのではないか。

     1日で180度の転換だった。橋下氏は柿沢未途幹事長の辞任問題をめぐり、先月27日に離党を表明した。だが、その際は「今、党が割れるようなことはしない。地方政治に集中する」との考えもメールで党関係者に伝えていた。ところが翌28日夜、自身が代表を務める地域政党「大阪維新の会」の会合で国政政党の発足を表明し、事態は急転した。

     亀裂を深めていた維新の党が解体していくのはいずれ、不可避だったかもしれない。だが、党の路線や政策を議論するはずの代表選を11月に控えていた。橋下氏は、旧日本維新の会の大阪系議員に強い影響力を持つ。あえて分裂を主導した手法には疑問を抱かざるを得ない。

     そもそも、橋下氏のこれまでの国政への関与は迷走の連続だった。地域政党、大阪維新の会を率いる橋下氏は2012年に国政政党、日本維新の会を結成した。その後、石原慎太郎元東京都知事らの勢力との合流や分離、さらには旧結いの党との合流など、離合集散を繰り返した。

     今回、維新の党の代表選は橋下氏の提案で党員にも国会議員と同じ1票が配分され、党員獲得に寄与していた。今回の事態に党員からは党費返納を求める抗議が相次いでいるという。橋下氏の責任は重い。

     動機にも疑問がある。今回、分裂を仕掛けた背景には11月に予定される大阪府知事選、大阪市長選に向けた橋下氏や松井一郎大阪府知事の影響力確保の思惑が指摘されている。

     大阪都構想は5月の住民投票で否決され、橋下氏は政治家引退を表明した。だが、ここにきて橋下氏は都構想の「再挑戦」を公言し、周囲には来夏の参院選出馬への待望論も出ている。地元議会や反対派と接点を探る努力もしないまま構想を蒸し返すようでは、民意の軽視である。

     離合集散を繰り返しても展望が開けず、最大課題だった都構想も否決され、苦し紛れの分裂劇というのでは、国民の理解は得られまい。

     維新の党の分裂が確定し、野党では同党と民主党の合流問題も新たに浮上している。政党の再編は政策本位で腰を据えて行うことが原則だ。にわかな再編論議にうつつを抜かさず、野党は終盤国会で安保関連法案への対応に集中すべき時だ。

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