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 就職活動は3月1日の企業説明会の解禁で本格化します。企業説明会や面接などの際に、企業が学生の何を重視するかは、業種や企業ごとに微妙に違います。しかし、「何をやってきたか」「どういう人間か」をみるのは普遍のテーマのようです。この食品メーカーはどうでしょうか。採用担当者に面接の実態を聞きました。

 ――面接などの際に、印象に残る学生とは?

 「独自の取り組みをやっている人ですね。よくみられる『サブリーダー』の学生たちは、質問を重ねていくうちに、だんだん話せなくなる。ほかの企業での就活がうまくいっている学生は、やはり、いくらでもしゃべることがある。引き出しがたくさんあって、やっていることに自分なりの理由があるのかと思う」

 ――そういう特別でない、「普通の学生」はどうしたらいいでしょうか。

 「急に取り繕っても何もならない。そうすると『サブリーダー』になってしまう。『特別なことはやってない』、でいいのではないですか。普通であっても、その人なりの特徴があるはずです。何かに打ち込んで『全国大会優勝』とか、そんな人は一握りです。普通に過ごしていても、ファッションとか音楽への関心など、いろんな場面で自分が出てくるはずです。自分がどういう人間なのか、自己分析って一番答えが難しい質問です。哲学的でもあります。つきつめていくと途中で嫌になると思います。しかし、仕事も、答えが無くて自分で決めなければいけないことが多い。自分で考えて決めなければならない最初の入り口としては、自己分析は結構大事だと思うのです。成熟した大人でも難しい。それが求められた時、とりあえずとことん考えて、自分はこうだと、考えた末に出した結論だったら、力がこもっているはずです。考え続け、考え抜く『思考体力』が必要です。質問を投げかけられても、自分なりの考えを整理できればいいと思います」

 ――過去にはどんな学生がいましたか

 「いちいちかみ付いてくる学生がいた。『ライバル社は取り組んでいるのに、なんでやらないのか?』『就活してはじめて知った御社の製品の知名度というのはどうなんでしょう?』などと言う。ちょっと偉そうで生意気で、言いたいことを言う。しつこいなと思うのですが、実は自分なりに考えている。思わず、『君みたいな営業マンも必要だ』と漏らしてしまいました」

 ――「これをやりたい」という専門性を求める学生は多いですか?

 「商品開発・マーケティング、営業の志望は多い。『まずは現場を知りたいので営業』という感じ。営業は通過点で、それから広報、商品開発、海外と。例えば、『マーケティングを専攻しています。専門職があれば』という人がいたが、約束できないので断りました」

 ――海外は志望すれば、いけるんですか?

 「人数が限られています。海外のグループ会社のマネジメントに関わっていくのが多いので、30代後半から40代、若くても20代後半というのが多くのケースです」

■企業研究どこまでやれば?

 ――企業研究を、学生にどこまで求めますか?

 「うちが何の事業をやっているか、具体的な商品名を知っていてほしい。多少はライバル社と混同していてもいいが、他社の商品を軸に自己PRされるのはちょっと困ります。ビジネスの内容に深く立ち入った質問は、定型ではしません。調べてきた人が目立ってしまうので。志望動機とかもほとんど聞きません。メインで聞くのは、『学生時代に何をやってきたのか』です。何をしたいかなど未来志向の話は内定したあとに聞くことにしています」

 ――インターンシップはどうしてますか?

 「非常に力を入れてやっています。夏季にはコースを二つもうけています。1回につき5日間の日程ですが、伝えきれないこともあるので、インターンシップ後、参加者に向けて『こんな情報もあるので来ませんか』と声をかける機会もつくっています。そのままうちを志望してくれれば、『久しぶり!』みたいな感じで、緩くつながっていくことができる。地方の学生などには、宿泊費も出しているので、結果的に、地方からもいい学生が採れている」

 ――インターンシップにはどんな学生が来ますか?

 「ガツガツした学生が多い。優しくすると不満のようで『適度にいじる』ぐらいがいいようです。むちゃくちゃダメ出ししたらしょげてましたが。『甘がみ』程度。思考を鍛えたい人が多い。大学は厳しくないらしいんですよね」

 ――インターンシップを経験した学生で、実際に採用までこぎつける人はどの程度か?

 「50人やって10人くらい。5日間のインターンシップで、良かったか、悪かったは一応見えてきます。一部には、インターンシップの時と違って、就活がうまくいかず、どんどん暗くなっていく学生もいるし、就活をどう乗り越えられるかも見えてくる。インターンシップに興味がある学生はやはり『準備型』なのです。インターンシップとは関係のない、一発勝負の学生も採りたいので、増やしすぎてもいけないかなとも考えています。ギリギリまで部活に一生懸命取り組み、合間を縫って、この業界を志望し、受けてくる、というような人材も欲しい」

 ――採用活動にOB訪問やリクルーター制を復活させている企業もあるようですが。

 「人がいないと成り立たない仕組み。たとえば、○○大学OBが東京エリアに何十人必要といった感じ。OBの人材プールがないとつなげていけない。銀行など多くの人材を抱え、採用も多ければ、いろいろできるが、そうはなっていない。仕事上つきあいがある大学のゼミの先生を通じてゼミ生へのアプローチはありえるが、本格的にはやれていない。マンパワーが足りない。インターンシップを大事にしたい」

■説明会ではこうして

 ――説明会で学生にこうしてほしいというアドバイスを。

 「質問して答えて終わりというよりは、キャッチボールができるといい。1回目のキャッチボールの後にさらに深い質問が来ると、みんなもそれを聞きたかったんじゃないか、となる。質問することが目的ではないのです。『御社の何々に関心があって、私は何々に価値を感じている人間ですが……』と話して、結局、何を質問したいのかが分からなくなることがある。しゃべりながら目をそらさずめちゃくちゃメモしているケースもある。聞く姿勢が100点であることをPRしてもあまり意味がありません」

■三つのアドバイス

・自分で1回は、徹底的に自己分析をしてみよう

・「マーケティングだけやりたい」「営業だけやりたい」はNGの可能性も

・説明会や面接で会話のキャッチボールをしよう