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 家電量販大手エディオン(大阪市)の営業秘密データを上新電機(同)に転職した元社員が不正入手したとされる事件で、不正競争防止法違反の罪に問われた上新電機元部長の笹沢淳(じゅん)被告(53)=懲戒解雇=の判決が13日、大阪地裁であった。橋本一(はじめ)裁判長は「転職先での地位を固めたいとする犯行だったが、反省もしている」と述べ、懲役2年執行猶予3年(求刑懲役3年)の有罪判決を言い渡した。罰金は求刑通り100万円とした。

 判決によると、笹沢被告はエディオンの課長だった2013年10月、商品仕入れ原価や粗利のデータ81件を私用パソコンにコピー。14年1月の上新転職後、遠隔操作でエディオン社内のパソコンから販売戦略関連データ4件を抜き取り、一部を上新の部長に渡した。

 検察側は笹沢被告がエディオンの経営方針に不満を抱き、転職を考える中でデータをコピーしたと指摘。転職後のデータ抜き取り行為にも、上新に有益な情報をもたらし、不正な利益を得る目的があったと主張した。被告側はコピーやデータ抜き取りについて「愛着がある情報を手元に置いておきたかった」「興味本位でやったこと」と説明。不正な利益を得る目的のない行為だったとして無罪判決を求めていた。

 データ4件の抜き取りについては、大阪府警が法人としての上新も書類送検したが、大阪地検は「笹沢被告以外の従業員の関与が認められない」と不起訴処分(起訴猶予)にしている。(阿部峻介)