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 「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の会員らが6年前、徳島県教職員組合(徳島市)の事務所で罵声を浴びせた行動をめぐり、県教組と当時書記長の女性(64)が在特会側に慰謝料など約2千万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、高松高裁であった。生島弘康裁判長は「一連の行動は人種差別思想の現れ」と判断。「人種差別」とは認定せず在特会側を敗訴させた一審判決を変更し、賠償額を約436万円にほぼ倍増させた。

 昨年3月の一審・徳島地裁判決によると、在特会の会員ら十数人は2010年4月、日教組が集めた募金の一部を徳島県教組が四国朝鮮初中級学校(松山市)に寄付したことを攻撃するため事務所に押しかけた。書記長の女性に対し、名前を連呼しながら拡声機で「朝鮮の犬」「非国民」などと怒鳴り、その動画をインターネットで公開した。

 一審判決は県教組の業務が妨害され、女性の人格権も侵害されたと認定。だが、原告側の「人種差別的思想に基づく行動」との主張については「攻撃の主な対象は県教組と書記長の女性。差別を直接、扇動・助長する内容まで伴うとは言い難い」と退け、原告と在特会側の双方が控訴した。

 控訴審で原告側は、一連の行動を「人種差別」と明確に認めるよう求め、その悪質性を考慮して賠償額を増やすよう主張。在特会側は、すでに13年8月の提訴時点で民法上の賠償請求権の時効(3年)が成立していると反論していた。

 在特会をめぐっては、09~10年に京都朝鮮第一初級学校周辺で繰り広げた抗議行動を京都地裁が「人種差別」と認定。1200万円余りの賠償を命じる判決が14年に最高裁で確定した。(田中志乃)