【コラム】愛国とは見なしがたいNY国連本部前の慰安婦デモ

 米ニューヨークの国連本部前で先日、韓国のある自治体の首長が元従軍慰安婦の李玉善(イ・オクソン)さんと姜日出(カン・イルチュル)さんにも来ていただき、「1人デモ」を実施した。この自治体首長は日本政府の謝罪と賠償、責任者の処罰などを要求した。そこまでは理解できた。しかし、「新たに構成される第20代国会で慰安婦被害者と旧日本軍による強制連行被害者の権利回復のための特別法制定を促す」という主張をニューヨークの国連本部前で行うことについては理解しがたかった。韓国の自治体首長が国連本部前で言うことではなかった。

 2012年10月、米ニュージャージー州パリセイズパーク公立図書館前にある従軍慰安婦碑に対して行われた「杭テロ」事件は、慰安婦問題を取り上げる時に韓国人が警戒すべきことが何なのかを示している。碑に日本の極右団体の行動隊員が「竹島(独島の日本側呼称)は日本固有の領土」と書かれた杭を打ち込んだこの事件後、「ベルゲン・レコード」という同州地元紙は、碑の横に韓国国旗の太極旗とテロの杭が並んで打ち込まれている写真を掲載した。そして、「韓国のための慰安婦碑をなぜ米国が守ってやらなければならないのか」という主張を掲載した。慰安婦碑の隣に太極旗と日本の極右派が打ち込んだ杭を並べ、慰安婦碑が米国国内の「韓日紛争の象徴」のように非難される状況になっている。

 韓国系人権活動たちは当時、慰安婦碑のそばで見張りをしていた際、毎朝早くから周辺の掃除をして太極旗を立てていく韓国系高齢者を見たという。活動家たちは、その高齢者に「太極旗を立てることは、人類の普遍的な資産になるべき慰安婦碑を、韓国と日本の間だけのもめ事と間違って認識させる可能性があるので、やめてほしい」と要請したが、高齢者の「愛国心」を止めることはできなかった。そのため、苦肉の策として慰安婦碑の横に太極旗と星条旗を一緒に立てた。

ニューヨーク=金徳翰(キム・ドクハン)特派員
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