HKT新曲の歌詞が女性蔑視だと大炎上...「女の子はバカでいい」と書く秋元康のグロテスクな思想は昔から

HKT新曲の歌詞が女性蔑視だと大炎上...「女の子はバカでいい」と書く秋元康のグロテスクな思想は昔から

  • リテラ
  • 更新日:2016/04/13
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シングル「74億分の1の君へ」(ユニバーサル ミュージック)

今月13日に発売されたHKT48のシングル「74億分の1の君へ」に収録されているカップリング曲「アインシュタインよりディアナ・アグロン」の歌詞が「女性蔑視である」として現在批判が殺到している。

秋元康の歌詞が女性蔑視? 何をいまさら……、と思ったが、実際に歌詞を見てみれば、2016年にリリースされる楽曲とは到底思えない、とんでもなく時代錯誤かつ女性蔑視的な驚くべき内容であることが分かる。以下にいくつか印象的なフレーズを引いてみたい。

〈難しいことは何も考えない 頭からっぽでいい 二足歩行が楽だし ふわり軽く風船みたいに生きたいんだ〉
〈女の子は可愛くなきゃね 学生時代はおバカでいい〉
〈テストの点以上瞳の大きさが気になる どんなに勉強できても愛されなきゃ意味がない スカートをひらひらとさせてグリーのように〉
〈世の中のジョーシキ 何も知らなくてもメイク上手ならいい ニュースなんか興味ないし たいていのこと誰かに助けてもらえばいい〉
〈女の子は恋が仕事よ ママになるまで子供でいい それよりも大事なことは そう スベスベのお肌を保つことでしょう?〉
〈人は見た目が肝心 だってだって 内面は見えない 可愛いは正義よ〉

こんなものを歌わされるメンバーもたまったものではないだろうが、YouTubeでこの曲のミュージックビデオが公開されると、Twitterでは当然のように歌詞の内容に異議を申し立てるコメントが殺到した。

〈「どんなに勉強できても愛されなきゃ意味がない」これが呪いの言葉だってことが分からないのか。これまでどれだけの女性が足をとられ、矯められ、煮え湯を飲まされてきたか。2016年にもなってこんな戯言聞かされて冷静でいろったって無理だよ。〉
〈もはや暴力でしょこの曲は。〉
〈しかしオッサンが女の子達に「難しいことは考えなくていい、頭空っぽのほうがいい、可愛くなきゃ愛されない」みたいな歌詞を歌わせるって、どれだけおぞましい抑圧かわかるだろ…。「オッサンに都合がいいだけのバカで可愛いお人形になれ」ってか、なにこの洗脳ソング…。〉

ちなみに、曲タイトルにある「ディアナ・アグロン」とは、アメリカの大ヒットドラマシリーズ「glee」で美人チアリーダーのクイン・ファブレー役を演じた女優の名前。今回炎上の発端となったのは、ディアナ・アグロンや「glee」の名を出しながら、女性差別・同性愛差別・人種差別・障がい者差別などの問題を丁寧に描いた「glee」とは完全に真逆の「女の子はバカで可愛い方がいい」というメッセージを出したことにgleek(「glee」ファンの通称)が怒りをあらわにしたことにあるのだが、AKB48グループのファン以外には知られていないので今まで炎上案件になっていないだけで、同グループのディスコグラフィーを掘っていくと、実はこういった類の楽曲はゴロゴロ転がっている。

たとえば、07年に発表された「涙売りの少女」。その内容は、〈大事なもの失くして行く その不安に怯えて 派手な化粧 仮面つける16の夏〉〈まるでマッチ売りの少女 私には何もなくて 売るものが見つからない 頬伝う涙買ってください〉と、援助交際に走る少女を下世話な週刊誌のように露悪的に描いたものだ。

09年発表の「口移しのチョコレート」もひどい。阿木耀子にしろ、阿久悠にしろ、松本隆にしろ、つんく♂にしろ、アイドルソングの優秀な書き手は、歌詞のなかでどこか「性」を感じさせる暗喩を散りばめるのが上手く、その能力は職業作詞家として必須のスキルとも言える。だが、秋元の場合はメタファーではなく、露骨で、単なるセクハラだ。〈チョコレート 口移しして いつものキスじゃつまんないよ 強引にねじ込んで… チョコレート 舌で溶かして あなたの愛を舐めたいの 唇をはみ出して… ヤラシイ音を立てる〉──、これを歌わされるメンバーは、レコーディングブースのなかで何を思ったのかと、胸が痛くなってしまう。

また、まだ発売前なのであまり話題になっていないが、今月27日発売予定のNMB48のニューシングル「甘噛み姫」に収録されるカップリング曲「恋を急げ」の歌詞は、これまであげてきたような女性蔑視的な思想とセクハラ表現の集大成のような内容だ。

〈定期的に恋をしないとね 劣化していくよ 蜘蛛の巣ほら張ってるよ 食欲が性欲に勝ってるなんて なんか悲しいね このまま行ったら年とっていくだけ 急いで恋をしなくちゃ一人に慣れてしまうよ 女の子の賞味期限あっという間に過ぎちゃう〉(筆者聞き取り。リリース前のため歌詞カードの正式表記は不明)

定期的な恋を妨げているのはあんたらじゃないのかとツッコミを入れたくなるが、テン年代も半ばを過ぎて〈蜘蛛の巣ほら張ってるよ〉という歌詞表現が当たり前に通用すると思っているところに、なんともグロテスクなものを感じてしまう。

ただ、そもそも、「選抜総選挙」と称してメンバー同士を競い合わせ、それで女の子たちが苦しむ姿を見て楽しむ残酷ゲームを最大のコンテンツとしている時点で、AKB48というプロジェクト自体が「女性蔑視」的な構図をはらんだものとも言える。

また、彼の出世作のひとつであるおニャン子クラブの「セーラー服を脱がさないで」にも〈エッチをしたいけど 全てをあげてしまうのは もったいないから…あげない〉とか〈おばんになっちゃうその前に おいしいハートを…食べて〉といった、うんざりするような表現もある。

そう考えると、「女性蔑視」は秋元康という作家がもともと本質的にもっている思想であり、HKT新曲の炎上は、たまたまそれがダダ漏れになったにすぎないということなのだろう。

しかも、笑ってしまうのは、こんな人物が「女性活躍」などというお題目を叫んでいる安倍首相に最大のブレーンとして重用され、彼のプロデュースするアイドルたちがやたら政府の広告塔に起用されている事実だ。これだけをとっても、彼らが望んでいる「女性の活躍」がどんなものなのか、よくわかるというものではないか。
(新田 樹)

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