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    かけはし2016.年4月18日号

G7伊勢志摩サミット反対


経済危機の民衆への転化と「対テロ」戦争に抗議しよう

伊勢志摩サミ
ットに反対!

 「G7伊勢志摩サミット」G7(以下、「G7」という)が五月二六〜二七日に三重県の伊勢市、志摩市で開催される。それに先立ち外相会合(四月一〇日〜一一日広島市)、科学技術相会合(五月一五〜一七日 つくば市)、保険相会合(九月一一〜一二日 神戸市)などの担当相会合などが開かれる。今回のG7で予想される主要な議題は、世界経済貿易、政治、外交、気候変動エネルギー、インフラ整備、保健衛生、女性などである。独占資本と結託した安倍政権は、G7を通じた日本の次世代成長戦略として先進技術を内外にアピールし、外交において内閣支持率をあげ、五月二七日G7終了後の参院選挙勝利をもくろんでいる。

G7の反動的
ねらいを暴け


 G7はすでに帝国主義・独占資本の利益調整のための会議の段階を通り越し、現在は国境を越えた資源の確保、市場の確保、外交的・軍事的支配の確保・拡大の旗振り役を担っており、ありとあらゆるグローバル・ガバナンスを担う政治主体となっているが、そもそもG7には国連をはじめとする国際機関は何の権限も与えていない。G7は、帝国主義諸国と独占資本の寄せ集めの制度であり、国際法の観点からみても非公式の実体のないグループにすぎないのである。
 問題は、G7でなされた決定、決議、宣言、表明は国際法上の根拠なしのG7内での仲間内の取り決めにもかかわらず、その決定等がG7とはなんの関係もない第三世界、途上国までに実質的に強い影響を及ぼしていることである。逆にこのような「世界政府」の役割に期待を寄せる途上国の存在が、問題をさらに複雑化している。さらに少数のG7参加国の内政が過度に影響するグローバリズムに内包するナショナリズムの問題もはらんでいる。
 G7における帝国主義・独占資本の反動的なねらいは、経済、軍事の新自由主義グローバリゼーションと国益による世界支配である。われわれの身近にあるもの(商品、製品)、金(金融、投資、株式)、ひと(労働力、労働者)、情報、技術、サービス、システムといったありとあらゆるものが国境を越えて行き来して貧富の格差が拡大している今日、経済、産業、財務、交通関連の財界の関与の下で市場の原理に基づいた自由市場経済の世界的拡大の背景となる新自由主義をリードしているのがG7である。
 また今回のG7では「IS(イスラム国)掃討」をはじめとする世界各地での「対テロ戦争」の遂行における帝国主義諸国の国際的な軍事連携の強化が行われる。特定秘密保護法の強行採決、武器輸出の解禁、安保関連法の強行採決を行い、憲法改悪に突進している安倍政権は、さらなる帝国主義間の軍事同盟の強化を今回のG7を通じて行っていくであろう。同時に安倍政権は、伊勢神宮の近辺でG7を開催することにより、日本の神道イズムの世界への発信、「天皇制戦争国家・日本」のG7に結集した帝国主義諸国への宣伝をもくろんでいる。

今こそ国際主義
の原則の復権を


 われわれは、G7に結集する帝国主義諸国と独占資本の「世界政府」の仮面をかぶった国益による世界支配を弾劾する。世界の労働者は、G7に反対する、国家と資本から自立した主体的な運動を創造していかなければならない。プロレタリアは祖国を持たない。プロレタリアの唯一の目的は、全世界にわたるあらゆる民族の労働者の祖国を作り上げることである。労働者は国家をこえて、力の強いもの、お金のあるもの、販売力、宣伝力のあるものが世界を凌駕していく世界共通化の考え方の欺瞞性を暴露し、G7に結集した帝国主義・独占資本による新自由主義グローバリゼーションの拡大、ナショナリズムの世界化と対決する闘争に立ち上がらなければならない。
 帝国主義諸国と結託し、「天皇制戦争国家」、改憲に突き進む安倍ブルジョア政権打倒!
 世界の労働者は労働者政府の樹立に向かって前進せよ!       (山本)

4.3

伊達判決57周年集会

最高裁砂川判決は無効だ

安倍の暴走政治止めろ


安保は憲法違反
伊達判決の意味
四月三日、東京・飯田橋の東京しごとセンター地下ホールで「最高裁砂川裁判は無効 アベ暴走政治にNO! 伊達判決五七周年記念集会」が開催された。主催は「伊達判決を生かす会」。
ここで改めて伊達判決の持つ意味についてあらためて確認しよう。
砂川闘争伊達判決とは、一九五七年八月、東京都下砂川町(現立川市)の米軍立川基地拡張に反対する闘いの中で基地内に侵入したとして、学生や労働者が日米安保条約に基づく刑事特措法違反で逮捕・起訴された事件に関わるものである。一九五九年三月三〇日、一審東京地裁伊達裁判長は「安保条約に基づいて日本に駐留している米軍は、憲法九条が保有を禁止している戦力にあたり、憲法違反だ」として、被告全員に無罪を言い渡した。
「安保は違憲」とする伊達判決は、翌一九六〇年の安保改定を控えた日米両政権にとって深刻な打撃だった。そこで伊達判決の翌日には、同判決が安保改定の支障にならないよう、岸内閣の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使との会談が行われ、高裁を飛ばした「跳躍上告」によって、年内に最高裁で伊達判決をひっくり返す相談を行った。またその後、田中耕太郎最高裁長官とマッカーサー大使が密議を繰り返しながら周到に判決を準備していった。こうして一九五九年一二月一六日に田中裁判長の下で安保違憲の伊達判決を破棄する「東京地裁への差し戻し」判決が下され、その後の東京地裁判決で被告に「罰金二〇〇〇円」の有罪判決が下されたのである(一九六二年一二月差し戻し審控訴棄却、一九六三年一二月上告棄却)。――この経過については本紙二〇一四年一〇月二〇日号「砂川事件元被告・土屋源太郎さんへのインタビュー」参照。

米大使と最高
裁長官の密議
しかし最近になって、当時の田中耕太郎最高裁長官とマッカーサー駐日米大使が、繰り返し裁判の進行などについて密議をしていた経過を示す文書が、日本の学者や研究者によって米国公文書館で発見された。つまり、砂川事件最高裁判決とは日米両政府と最高裁長官の合作による、司法の独立を踏みにじった違憲判決であることが米国政府の公文書によって明確になったのである。
この中で、元被告たちによって二〇一四年六月に新証拠に基づく「再審請求書」が出され、その後、五通の補充書も提出された。二〇一五年八月には弁護人の「最終意見書」も提出された。しかし、今年三月八日になって、東京地裁刑事一〇部田邊三保子裁判長は、この再審請求を棄却するとの決定を下した。まことに不当な決定である。
二〇一四年の「集団的自衛権」行使容認の閣議決定、さらに昨年の安保関連法=戦争法で、従来「集団的自衛権」の行使は憲法上できないとされてきた解釈をくつがえし、「個別的」であろうと「集団的」であろうと「自衛権行使」は憲法上認められるとの強引な論理を正当化するために、高村自民党副総裁によって、この「砂川事件最高裁判決」が詭弁的に持ちだされてきた(「集団的」「個別的」の区別を行わずに、自衛権一般を「合憲」としているなどという、誰も考えてこなかった理屈で)。
安保関連法の施行直前に、再審棄却請求却下決定が行われた政治的意味は極めて鮮明だというべきだろう。この不当極まる再審請求棄却決定に対して、三月一一日に四人の再審請求人(坂田和子[元被告・故坂田茂の長女]、椎野徳蔵、武藤軍一郎、土屋源太郎[三人はいずれも元被告])は即時抗告書を東京高裁に提出した。

不当判決と騙し
のテクニック
集会では、会の活動報告の後、四人の再審請求人がそれぞれに思いを語った後、弁護団を代表して吉永満夫弁護団代表が「特別報告『騙しのテクニックを一挙公開!』」と題して、詭弁に満ちた棄却決定を徹底的に批判した。
吉永弁護士は「@請求人の主張を無視する、A過去の最高裁判決をわざと間違って引用する、B平気で堂々と互いに矛盾する概念で説明する、C論点を自分に都合よく使い分ける、D推論として成り立たない論法を使う、E「…に過ぎないと述べて重大な事実を隠蔽する」と棄却決定のごまかし、問題点を詳細に紹介し、裁判長と「被害者」である米国の当事者が、内密理に意見交換したことを、「大したことではない」と無理やり言いくるめる手法を徹底的に批判した。吉永さんは、田中耕太郎がマッカーサーにどういう発言をしたか、それを受けて米国側がどういう判断をしたかが問題であるにもかかわらず、その点についてふれようとしない棄却決定の論理を浮き彫りにした。
稲嶺進名護市長などからのメッセージが紹介された後、元レバノン大使の天木直人さんが「今こそ対米自立を」と題して講演。天木さんは、「なぜ日本はここまで対米従属的なのかを解明することが私のライフワークであり、砂川判決再審の帰趨は日本の将来がかかるような問題だ」と語った。そして、「再審請求の棄却決定は米公文書の存在それ自体を認めないものではないかと思っていたが、しかし決定はこの米公文書を引用している。文書の内容は誰が見ても政治介入ではないか。しかも砂川判決は、最高裁が集団的自衛権を認めているという主張の唯一の『根拠』だ。この問題の重要性をアピールすることができるような人たちに、さらに語ってもらおう」と天木さんは訴えた。
集会では、「横田基地もいらない市民交流集会」実行委員長の寉田(つるた)一忠さん、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの青木初子さんが賛同団体を代表してあいさつした後、集会声明文を採択し、最後に再審請求人の土屋源太郎さんが行動提起。
八〇歳を越えながら、つい最近も辺野古現地にかけつけ機動隊にごぼう抜きにされたという土屋さんは、「裁判所の棄却決定は、米大使と田中最高裁長官が会って意見を交換していた事実は認めている。これだけで最高裁判決破棄の根拠になり得る。安保法制の根拠に砂川最高裁判決が悪用されているのだから、今こそ安保法制廃止だ。沖縄の闘いを支援し、横田集会も成功させよう」と呼びかけた。        (K)

声明

吉田純子さん、鎌田安利さん
の死刑執行に抗議する

アムネスティー・インターナショナル日本

 三月二五日、岩城光英法相は、確定死刑囚二人の死刑執行を命令した。第二次安倍政権になって九回目、計一六人の死刑が執行された。われわれは死刑制度廃止の立場から、この死刑執行に抗議する。アムネスティー・インターナショナル日本の声明を転載する。(本紙編集部)

 アムネスティ・インターナショナル日本は、本日、福岡拘置所の吉田純子さんと大阪拘置所の鎌田安利さんに死刑が執行されたことに対して強く抗議する。
 岩城光英法務大臣は、昨年10月に就任してから12月に2名をすでに執行し、その3カ月後である本日に2名、計4名というハイペースで執行を進めている。安倍政権下では、2006年の第一次安倍内閣と合わせて実に26人が処刑されたことになる。近年の政権では、極めて突出した執行数であり政権が命を軽視していることの表れである。
 鎌田安利さんは75歳という高齢であった。高齢者の死刑囚に対する死刑執行は、国際的には未成年者や精神疾患を有する者に並び、残虐であるため禁止すべきとされている。
 世界では事実上死刑を廃止している国を含めると、140カ国と大多数が死刑廃止国である。OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で死刑制度を維持しているのは、日本以外では米国だけである。その米国でも、死刑の判決数・執行数は激減し、毎年のように死刑を廃止する州が増えており、死刑廃止へ舵を切っている。
 国際的には、この残虐で非人道的な刑罰を維持することは、死刑廃止の潮流に対して背を背け、人権を無視した少数国であると見なされる。国際社会をリードする役割を担うG7伊勢志摩サミットのホスト国として、今回の死刑の執行は極めて残念である。
 死刑は生きる権利の侵害であり、残虐で非人道的な人の尊厳を傷つける刑罰である。アムネスティは日本政府に対し、死刑廃止への第一歩として公式に死刑の執行停止措置を導入し、全社会的な議論を速やかに開始することを要請する。
 2016年3月25日
アムネスティ・インターナショナル日本

 


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