最近、HCD-Net認定人間中心設計スペシャリスト (Certified Human Centerd Design Specialist) というものを受けて、無事合格したのでその事について。
人間中心設計スペシャリストとは
人間中心設計推進機構が実施している専門家認定制度で、その人がHCD (人間中心デザイン) についての実務経験と実績があることを、審査し認定する制度です。
自分は肩書はエンジニアですが、プロダクトマネージャー的な役割をすることが多く、必然的にHCDやサービスデザインのような分野についても業務上考えることが多くあります。実際のところ第三者からみて自分のやってるHCDはどうなんだろうか、という疑問や自信の無さから、この試験を受けてみることにしました。
あくまで業務上の実績で認定されるので、勉強して試験を受ける感じではなく、HCDに特化した超事細かな職務経歴書みたいなものを書いて提出して審査を受けます。 この申請書を書くのがめっちゃしんどい。1ヶ月程度時間をかけて書くのがオススメされてます。自分は色んな締め切りが重なってしまい、24時間でなんとかギリギリ書き上げました…。
何を審査されるのか
これはHCDやUCDの文脈でよく出てくる、人間中心デザインプロセスをざっくり表した図 (ISO9241-210)です。 計画~調査~企画/設計(デザイン)~評価というのが人間中心デザインの一連の流れになります。(リーンスタートアップの文脈でいうBMLループみたいな)
認定試験では、この各ステップにおいて、必要とされる能力が定義されていて、それを満たす実績をアピールする必要があります。 例えば、計画と調査のステップだと、
- 調査評価設計能力
- プロジェクトの目的に応じて、適切な定量/定性調査を設計できるか
- ユーザー調査実施能力
- 計画したユーザー調査を適切に実行できるか
- 定性定量データ分析能力
- 調査で得たデータを適切に分析できるか
- 現状のモデル化能力
- 調査結果をモデル化 (ペルソナだとかカスタマージャーニーマップとか) して周りに伝えられるか
みたいな感じ。これに当てはまる業務上の実績を示して、6つ以上の実績が認められればスペシャリストとして認定されます。 ちなみに、HCDスペシャリストは実務経験2年以上、上位資格のHCD専門家は実務経験5年以上が応募資格として必要です。
設問がよくできてる
HCD自体が ISOで規格化されてるのもあり、それに基づくこの認定試験の設問もよくできています。 HCDにどんな能力が必要なのかが体系建てて定義されているので、設問を見るだけでも結構面白いです。(エクセル方眼紙ですが、問題はここから見れます)
例えば、先に挙げた調査ステップも、設計/実行/評価が明確に区別されています。 ユーザーインタビューをやるにしても、実行 (インタビュー) だけを考えがちですが、設計と評価も同じぐらい重要ですし、実行とはまた違った能力が必要とされます ってのを受けてみて、はー確かになーと改めて思いました。
調査以外にも、サービス設計、情報設計、プロトタイピングなど各フェーズでどんな能力が必要とされるのかが定義されていて、 定義があるからこそ設問に答えてると自分に足りない部分も見えてきます。サービス開発エンジニアやデザイナーの面接とか評価にも参考にできそう。
余談ですが、デザイナーにどんだけ色んな能力求められるんや…!ってのも改めて感じます。 これ全てできる人はなかなか居ないので、足りない部分は自分が埋める精神で、サービス開発におけるデザインを要素分解して考えることの重要さを痛感してます。
その他受けてよかったこと
サービス開発って、サービス自体の指標 (PV/UUとか) と切り離しての評価が受け辛いなと常々感じます。エンジニアリングについての評価はどの会社も知見が溜まってるように見えますが、プロダクト分野の評価はどこも苦労してるように見えます。
実際、丸3年間サービス開発やってきても、自分が成長してるんだかしてないんだか、いまいち自信が持てませんでした。人間中心設計スペシャリストに合格したこと自体は自己満足ですが、第三者からみて一定の実績が認められたのは自信になりました。
今後もデザインとかエンジニアリングとか分野をガンガン越境して、サービス開発をやっていく気持ちです。