為替には月内の特徴的な値動きがある
為替は海外との輸出入取引に伴って必要になるものです。輸出入に取引に合わせて、為替取引が発生するって意味なので、輸出入取引の特徴が為替市場の特徴にも通じるものとなります。
以前、FX市場の時間別特徴について書きましたが、今回はより長い時間軸での特徴って捉えてください。
1か月のなかでの値動きに影響するゴトウビとは
FX市場ではゴトウビ(5.10日)って言葉があります。5(ゴ)10(トウ)、日(ビ)でゴトウビってことです。
ちなみに、5日、10日だけでなく、15日、20日、25日、30日もすべてゴトウビになります。5の倍数の日ですね。
日本企業は海外に料金を支払うときにドルを調達します。このゴトウビがなぜ注目されるかというと、そのドル調達日(輸出企業の資金決済日)がこの5の倍数の日に集中するからです。
そのため、ゴトウビは1か月の間でドル円の取引が多い(流動性が高い)日であり、主に朝方にドルが買われやすい傾向がある日になります。
なぜ朝方かというと、朝9:55分頃に仲値(TTM)が発表されるからです。
この仲値は日本企業の多くが為替レートの指標に使っているレートなので、注目度が高く目安になりやすいというのが理由になります。
そのため、ゴトウビの典型的なパターンは、
- 東京市場のオープンする9時から5ドル買い円売りの注文が増えて、仲値(TTM)が決まる10時ごろまでドル円が上昇(ドル高円安)
- その後、仲値が決まるとドル買い需要が急になくなることで、ドル円が下落(ドル安円高)
なお、月末も資金決済に使われやすい日なので、ゴトウビと同様の性質があるといわれます。
為替市場の季節別特徴
実需観点からの季節別特徴
1か月のなかでの値動きは、ゴトウビっていう資金決済日が影響を与えていることはわかりました。ここからは、1年間の季節別の特徴を、ゴトウビのような為替の実需(取引需要)の観点からご説明します。
2月~3月のFX市場の特徴
3月決算を迎えるため、日本企業が持っていた外貨を円に換えることで、円ベースでの損益確定を図るってニーズが現れます。どのため円買いの動きの活発化します。これはドル円レートの円高要因となります。
4月~5月のFX市場の特徴
3月決算を経過することで、日本の機関投資家の外貨投資の活発化します。
生損保などの投資家に特にみられる傾向ですが、3月決算時点で見込んでいた収益を下回りたくないって欲求が強いのです。そのため、3月手前では外貨投資(ヘッジ無し)のようなアグレッシブな投資はやりにくいのです。
その後4月に入って、これまで控えていた外貨投資を行うってことになるので、外貨買いの需要が増えることになります。
7月後半~8月のFX市場の特徴
日本では夏休み(お盆休み)がある時期ですが、影響が大きいのは海外のサマーバケーション。外人の夏休みは本気で長くて一か月くらい平気で休む人もいます。ハードワークの金融業界でも例外ではなく、夏場は休む人が多いため取引は停滞気味。FX市場はお休み気味ですね。
反対に夏休みに入る個人投資家の証拠金(FX)取引の影響が相対的に高まるって見方もあります。
11月のFX市場の特徴
欧米企業は12月決算。この辺りで自国通貨である、ドル、ユーロを買うって動きがで安い傾向があります。2~3月のFX市場で日本人が行う円買いと一緒ですね。
円は売られやすい時期と言われています。
12月(後半)のFX市場の特徴
12月後半のクリスマス休暇は欧米人にとって超重要。ここは家族サービスに費やさなくてはならない期間になるため、外国人(キリスト教徒)はお休みです。サマーバケーションの時期と似ていますが、それ以上に市場の流動性は極端になくなります。
反対に日本人がお休みに入る大晦日、正月辺りには(1月1日を除いて)外人は動き出します。
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