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地方出身者なんですが、親がことあるごとに公務員を勧めてきます

実体験から 考えたこと キャリア

地方出身者なんですが、親がことあるごとに公務員を勧めてきます。私は四大卒で東京で暮らしている二十代半ばの女です。

父親も母親もどっちも勧めてきますが、母親のほうが激烈です。もはや「公務員ハラスメント」といっていいレベルです。親は教育方針としては放任でしたが、こと公務員のことになるとかなりうるさいです。

私の実家は西日本のど田舎にあり、両親は両方とも(地方)公務員です。物心ついたときから両親(特に母)の公務員信仰が厚く、将来の夢の話をするたびに、母親は「公務員が絶対いいよ」と言っていました。

私は思春期の反抗がハンパなかったので、ことあるごとに公務員を推してくる親に猛反発して、テレビを見てごろごろしている父親を見てめちゃくちゃ軽蔑し、「こいつらの仕事には生産性がない」「向上心を持たないやつはバカだ」みたいなことを感じていました。

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(写真はイメージです)

高校受験でも揉め、大学受験でも揉め、その後の就活でも(軽く)揉めました。母の意見は「地方公務員になるのが一番いい、そのためには地元の公立大学が一番、身の丈に合った人生を送ってほしい」「出産などを考えるとワークライフバランスは大切で、そのためには一般の企業よりも公務員がいい」というもので、

一方私の意見は「自分の学力が及ぶ限りいい大学に行きたい。絶対こんな田舎飛び出して、東京に行って、どこまででも遠くに行きたい」「ワークライフバランスを最重要視して就職先を選ぶのはおかしい。働きたい場所で働くのが一番だ」というものでした。

いずれも、親の意見を無視して強行突破した形になったし、最終的には親もそれを許してくれました。

 

そして、就職し、会社を辞めたあと。「今からでもいいから公務員を受けたほうがいい。現実問題として、今後の仕事をどうするのか?」「この先、心や体を壊したとき一般の企業は面倒を見てくれるのか?」「結婚しているとはいえ、夫に経済的に依存するのは絶対にやめたほうがいい」と母に言われ、それはすごくまっとうな意見に思えました。

このときはじめて私は「公務員になること」を明確に自分の中にある可能性として意識しました。でも、やっぱり公務員にはなりませんでした。

 

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このあいだ高校の同窓会に行ったら、公務員がいっぱいいました。「県庁」「先生」「臨時の職員」……彼らは「すごいね」「よかったね」と、周囲から祝福されていました。

二十代半ばになった今だったら、なぜ「公務員」がそこまですごいのか、ちょっとは理解できます。東京とど田舎では「公務員」の重さが全然違うのです。ど田舎において、公務員は「超一流企業」。物価も地価もお金の使い方も何もかも都会とは全然違うから、ぶっちゃけ公務員のダブルインカムだったら、かなり恵まれた生活ができるのです。

私が親に反発しながら、結局大学卒業までやりたいようにやらせてもらったのも、両親の安定した収入のおかげであることは間違いないです。

 

あんまり具体的には書けないのですが、私の父も、母も、経済的に不安定な家庭で育っています。だから、父も、母も、「貧困に脅かされないこと」「生活が安定していること」「子供に経済的不安を味あわせないこと」「一生働き続けられること」を人生において何よりも重視していました。

そういうバックグラウンド理解している今では、両親が公務員という職業に全幅の信頼を置いているのはある意味当然だ、と思います。私が公務員に反発を抱くのだって、経済的な危機感を全く感じずに育ったから、というのが大きいのでしょう。

 受けようと思えば今からでも公務員試験を受けられる年齢ですが、たぶん私が公務員になることは一生ないでしょう。それは、やっぱり私の持っている価値観と、「公務員」そのものの価値観があまりにも違いすぎるからです。

けれど一方で、両親や、同級生たちが、激烈に「公務員」を信じていることを軽んじることもできないと思っています。彼らの「公務員」という選択には、身に迫る切実さがあると思うので。