熊本地震の避難者宅を狙った空き巣被害を防ごうと、各地で組織された自警団が、夜の巡回を続けている。
避難中の留守宅を狙う空き巣被害を防ぐため、巡回する宇土市消防団=22日、宇土市
23日夜、宇土市の住宅街。パトロールする市消防団の車が、停止中の県外ナンバーの車と擦れ違った。
「運転手と目が合った。再確認しよう」。本多竜三・第1分団長(42)の指示に、緊張が走る。男性が明かりのついた玄関に入るのを見届けると、胸をなで下ろした。
同市では19日から全7分団が毎日計39台で巡回に当たる。分団長同士はLINE(ライン)で情報共有し、不審車の特徴やナンバーなどを知らせあう。蛇行運転する車を発見すると、ラインの履歴でナンバーを確認。水も漏らさぬ警戒ぶりだ。
「地元以外の人はすぐ分かる。巡回する姿を見せて被害を防ぎたい」。自らも被災した本多分団長の表情が、頼もしい。
甚大な被害が出た益城町では消防団が未明にかけて巡回。県外ナンバーを警戒するが、川端秀明班長(43)は「ボランティアの車まで不審に思えてしまう」と悩ましさも。熊本市南区城南町では地区の有志が、南小国町でも自主防犯組織が街を守っている。
一方、空き巣被害に遭った熊本市西区の男性(47)は「地震で、もっとつらい目に遭った人がいる」と震災対応に追われる警察に遠慮し、被害届は出していない。「地震で弱っているところに追い打ちをかけられた。悔しくてたまらない」と涙をこらえた。(熊本地震取材班)
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