リストカット、首切り…R指定なし衝撃の映画
4日公開「自殺マニュアル」

「自殺マニュアル」
「自殺マニュアル」
 ホラー映画「自殺マニュアル」が映画関係者の間で賛否両論巻き起こしている。福谷修監督(36)が、タイトル通り“自殺の仕方”を詳細に映像化したためで、あす4日の公開をかたずをのんで見守っている。

 映画は10年前、“自殺指南”ともとれる過激内容で話題になった「完全自殺マニュアル」(鶴見済著)がヒント。

 自殺ネットで知り合った若い男女4人がアパートの一室で七輪の練炭を炊いて自殺した場面から始まる。現場には自殺を促す“マニュアル”を紹介したDVDがあった。テレビディレクターは、その謎を追って取材を始める…。

 出演は水橋研二、森下千里、中村優子ら若手の実力派。撮影を「地雷を踏んだらサヨウナラ」の岡雅一、CGデザインを世界的に活躍する坂本サクが担当した。

福谷修監督
福谷修監督
 脚本も手がけた福谷監督は、雑誌編集やバラエティー番組の企画・構成などを経て3年前、JR中央線の飛び込み自殺をテーマにした映画「レイズライン」を自主製作。みちのく国際ミステリー映画祭オフシアター部門でグランプリを受賞して一躍注目された。

 高校時代に撮った8ミリ映画も自殺が題材だったという監督。「自殺願望はなく、ホラーとして自殺が日常の中でリアルな恐怖を描ける素材だっただけ」という。

 映画では、練炭のほかリストカット、首切り、特製自殺マシンなど“自殺マニュアル”映像が克明に描写される。

 これに映画関係者から「自殺を助長しかねない」「安易に自殺の方法を描き過ぎる」と批判が集中。一方で、「自殺の怖さがストレートに伝わった」「ホラー映画として一級品」と擁護派も。

 福谷監督は「あくまでエンターテインメント。自殺を考えることは生きること。映画を見れば、自殺志願者も踏みとどまってくれると思う」。

 東京・渋谷シネ・ラ・セットでレイトショー。単館上映で「R指定」の制限はない。さて−。

ZAKZAK 2003/10/03