こんだけ好きなのに、なんでそんな反応なの?
めちゃくちゃ準備したプレゼンなんだけど、なんか反応鈍い気がする。
そんな、イマイチ自分の熱量が伝わらないことってありませんか?
もうちょっと反応がほしい!そのもどかしさの原因は、ちょっとした言葉のチョイスでなくなるかも。ぜひ、単純接触の原理を意識してみてください。
単純接触の原理とは?
単純接触の原理は、心理学の用語です。「個体間の親密さは、接触回数、 接触頻度が多ければ多いほど増す原理」のことなんですが、「出会う回数、出会う頻度によって親密感は変化する」ってことです。
単純に言えば、愛着がわくってことですね。それこそ、人にも、物にも、言葉にも。
なんだ~って思うかもしれないですけど、これ、結構大掛かりな実験がされています。1968年には、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスによって論文でまとめ直され、「ザイアンスの法則」「ザイアンスの単純接触効果」 とも呼ばれるようになりました。
この単純接触の原理を逆手にとるのが、伝わる言葉を選ぶコツなんです。
愛着や親近感を持たせたい時は、同じ言葉を繰りかえし使う。
まず先に、単純接触の原理を通常道理につかったのも書いておきます。
例えば、アイドルの自己紹介。「○○です★○○です!○○です、3人合わせて~」ってやつ。もしくはLIVEの「こんばんは、○○でーす!!!」ってやつ。もっと身近にすれば「○○Newsが午前6:00をお知らせします」って始まりのやつ!
もうさ、知ってるんです。名前とか。グループ名とか。6:00に始まることとか。でも、これは繰り返しされるし、あ、始まった・・・っていう感じがありますよね。
これは繰り返すことで単純接触の原理をねらっているし、わたしたちもそれに染まっています。たまに特番とかでオープニングがなかったりすると、「あれ?」ってなるやつ。これもう、染まりきってます。
身近な使い方としては、いつも決まった時間にメールをするとか、必ず朝は挨拶をするとか。よくメルマガの配信やブログの更新時間を、統一しているというのを聞きます。これも、単純接触を利用して愛着を持ってもらうための方法です。
昨今、単純接触の原理が働いていると思う言葉たち。
ここ最近、単純接触の原理が働いていると思う言葉をあげたいと思います。
それは、「ゲス」と「不倫」です。
この2つは、どちらも否定的な意味を持つ言葉。
【下衆】ゲスとは
- 品性が下劣なこと。また,そのような人やさま。
- 身分の低い者。素性のいやしい者。下賤な者。
【不倫】フリンとは
- 道徳に反すること。特に,男女の関係が人の道にはずれること。また,そのさま。
社会的にも、あまりよくないイメージ。
でも、昨今これらの言葉は市場に出回りすぎたと思うんです。だから、言葉の受け取り手が、その否定的な意味に慣れつつある。
例えば「ゲス」という言葉についてだけど、一番最初の露出は、お笑い芸人ハマカーンさんの「ゲスの極み」というネタ。このネタがでてきた時は、表現もさることながら、言葉も聞きなれず面白かったのではないでしょうか?その後、「ゲスの極み乙女」がブレイクしたことにより、ゲスという言葉が広まりました。
このお二人によって、ゲスという言葉は「聞きなれない否定的な言葉」から「流行している言葉」へ。今では「それゲスくね?」「おまえマジゲスww」みたいな表現も、会話に自然と登場します。ゲスという表現は、もはやお茶の間の友なのです。今、ゲスいと言われるより、ハマカーンさんが出てくる前にゲスい・・・と言われた方が傷ついたのではないですか?
冒頭で同じ意味とでてきましたが、「ゲス」と言われるのと、「品性が下劣」と言われるのでは、昨今では全然受け取り方が違うはず。
不倫類の話も、鮮度をたもって伝えるのであれば、表現を変える必要があります。
1番初めに出てきた「不倫」という言葉より、4~5回繰り返した後の「不倫」という言葉は、インパクトを与えません。○○さん不倫って見出しが続くより、○○妻への裏切り、○○旦那は2人いた?!とか、あえて言葉を変えると、言葉の新鮮さを保てます。
うーん、なんか例えがヘビーすぎた気がする。(笑)
ここぞ!という時は、普段と違う伝わる言葉選ぼう。
長くなりましたが、ここぞという時は単純接触の原理を逆手に取りましょう。
あえて、普段と違う言葉を選ぶことで、気持ちを伝えるんです。
例えば、わたしだったらこんな感じに添削します。
「超カワイイ、マジヤバい!」
▶▶「とっても好み、どうしよう嬉しい!」
「よーく考えて、頑張りきりました」
▶▶「熟考した結果、ベストの状態です」
「マジむかつく!」▶▶「本当に不快です」
「超好き!」▶▶「すごく好きです」
普段使っている話し言葉を、従来のキレイな日本語に戻すんです。単純接触の原理が起きている言葉を、あえて使わない。代わりに、堅苦しくない程度、でも流行り言葉に場所をとられてしまっている言葉たちを使うのです。
例文ではピンポイントで抜き出しましたが、むしろ長めの会話や文面の中、もしくは見出しの方が効果的。相手は、とつぜん普段聞きなれない表現まじるので、否応なくそこに注目します。まるで、そこが強調されたかのように受け取ってしまうんです。
これぞ、単純接触の原理、逆手取り!(笑)
ここで、選んだ言葉が従来のキレイな言葉だとナオヨシ!
なぜなら、印象に残った理由が、言葉の選び方のせいだとバレないからです。どうしてこんな印象的だったんだろう・・・と相手が疑問に思って、考えを巡らせたときに、意味が正しくない言葉を選んでいると、「ああ言葉遣いが間違っていたからか」と解決されてしまうから。
なんだかんだで、従来の綺麗な日本語は、わたしたちの中に根付いています。できることならそれを使って、「なんだかわからないけど、すごく印象的だった」と思ってもらえた方が、こっちが伝えたかった内容が相手の中に残りますからね!
どうしても伝えたい時、印象的だと思われたい時には、単純接触の原理を逆手にとってみてください。
言葉もキレイになるし、思いも伝わる。なんて、一石二鳥なんでしょう!