東日本大震災経験から伝えたい震災時のメンタルケア
まず初めに、先般発生した熊本地震にて犠牲となられた皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、被災地域の一日も早い復興を祈念申し上げます。
はじめに
心のケアは後回しにせざるを得ない?
支援者のためのメンタルケア
特に今回のような大震災の対応業務は際限がない。業務量が無限となる中、業務の範囲も不明瞭となりがちだ。一方できわめてイレギュラーな事態に対し、支援者個人が処理できる能力にも限りがある。使命感に燃える人ほど無理をしてしまいがちであるが、誤解を恐れずいえば、ある程度のところで一線を引く勇気(疲れたら遠慮せず休む等)も必要なのではないか。支援者自身も多くは被災者であり、地震の健康管理や身の回りの整理に立ち返るゆとりも肝要だろう。
防衛大学校監修の資料によれば、「惨事ストレスは異常事態に対する正常な反応で、誰にでも起こりうることであり、反応が出た場合でも、多くの場合は一時的で、次第に収まり完全に回復するが、一部の場合は、その影響が長引く場合もありえる。反応が長引く場合には、なるべく早く周囲に相談するのが望ましい」という。「自分だけ休んでいられない」と罪悪感が生じることは自然なことであるが、支援者自身が調子を崩すと、その影響がかえって周囲に及びうるのだ。(重村淳(防衛医科大学校 精神科学講座)監修「災害救援者・支援者メンタルヘルス・マニュアル」)
とはいうものの、災害時における対応はそう簡単なものではない。災害時の業務の差配や人員の確保等は、メンタル対策等とともに、我が国共通の課題としてまとめ上げる必要があるだろう。
直接の被災者・支援者でなくてもメンタル的に落ち込むときはある
災害の直接の被災者でない人々に求められるのは、「被災者・被災地のニーズに沿った支援」「息の長い支援」ということになるだろう。せめて自身のメンタル面での健康を保ちながら支援をしたいものだ。繰り返すが、メンタル面での健康を保てなそうだと感じたら、震災関連の報道からいったん身を置く、休息をとりながら誰かに話を聞いてもらう、などが肝要だ。
結びに代えて
先の東日本大震災で、筆者は自身の無力さを嫌というほど味わった。しかし、ベタな言い方かもしれないが、逆境から立ち直る強さや、心が折れたとしても再び立ち上がる強さを、われわれ人間は持っているのだ、と筆者は信じたい。被災地域の皆さんがご無事で、一歩一歩、各人が復興に向けた歩みを始められることを、切望してやまない。
【参考記事】
■「育休でもボーナス満額」で男性の育休取得は促進されるのか。(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/48294119-20160406.html
■ハローワークでサービス残業が起きた理由。(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/48104775-20160316.html
■「そうだ、相談に行こう!」と思ったら、まずどこへ向かうべきか。(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/47919566-20160225.html
■それでも、ベッキーさんへの過剰な批判が危険な理由。(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/47661979-20160129.html
■それでも、不倫疑惑タレントを「抹殺」してはいけない。(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/47561520-20160119.html
後藤和也 産業カウンセラー キャリアコンサルタント
編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2016年4月22日のブログより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間