初飛行した防衛省が開発を進める国産のステルス実証機「X2」。操縦席付近に日の丸のデザインが施された機体は22日、愛知県営名古屋空港(愛知県豊山町)を離陸後、高度3000メートルまで上昇、時速400キロで飛行した。レーダーに探知されにくく、高度な運動性能を備えたステルス戦闘機は「第五世代機」と呼ばれ、F22戦闘機などを実戦配備する米国をはじめ、ロシア、中国も開発にしのぎを削る。ステルス技術は地域の安全保障にも影響するだけに、実証機の能力は周辺国からも注視される。
【特集】飛べ! 国産ステルス戦闘機
◇航空産業の力結集
X2は航空自衛隊の次期戦闘機(F2戦闘機の後継機)にステルス能力を持たせるための先進技術実証機として開発された。2009年度から約394億円が投じられ、部品の9割が国産。三菱重工業が主体となり、主翼と尾翼は富士重工業、操縦席周辺は川崎重工業、戦闘機用のアフターバーナー(推力増強)を備えた初の国産エンジンをIHIが製造するなど、約220社が最新の航空技術の粋を結集させた。部品総数は数十万点に及ぶ。
機体にはレーダーに探知されにくい電波吸収材に最新の複合材が採用され、エンジンには高い機動性を得るために推進方向を変える技術などが盛り込まれた。
◇国際共同開発でも必要
戦闘機の純国産化の思いは強い。日本はかつて戦闘機の開発で辛酸をなめた。1980年代に空自F2戦闘機の単独開発を目指し研究していたが、最終的に米国の主張が通り、日米共同開発になった。ある防衛省関係者は「X2の技術で、今度こそ単独で開発を」と意気込む。防衛省幹部は「日本独自のステルス技術は国際共同開発になっても有利な立場を獲得するために必要」と話す。
空自が老朽化したF4戦闘機の後継として近く調達するステルス戦闘機F35は、米ロッキード・マーチン社が中心に国際共同開発したものだ。日本企業もF35の最終組み立てや検査に参画することになるが、「機体は機密の塊。後発組の日本がノウハウを吸収できる分野は限られる」(日米関係者)。
◇素材開発、将来ビジネスに
民間側には航空業界の活性化へ期待感もある。三菱重工の担当者は実証機について「私たちの開発チームメンバーだけで多い時で250人ぐらいいる。数人の経験あるエンジニアが若いエンジニアを育てながら仕上げていくというプロセスになる」と指摘。「新しい技術を得るほかに、この事業で得られた基盤と技術で航空産業全体をもっと強くすることに役立てられる」と力を込める。
戦闘機開発技術の民間転用をめぐっては、三菱重工が開発を手掛けたF2戦闘機の軽くて丈夫な炭素繊維の複合材は、米国のボーイング787の主翼に転用された。現在ではこの技術が航空業界で主流になりつつある。
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