町の人々が地域の名物として愛している郷土料理も「高麗鍋」だ。67歳のある住民は「私たちの地域では、数百年前から漬物が発達していた。あれも高句麗の産物」と語った。「テンジャン(韓国みそ)・カンジャン(韓国しょうゆ)を解いてハクサイの漬物を入れ、ゆっくり煮込んだ鍋を、高句麗の人々は好んで食べたと伝えられている。今では、韓国キムチ・高麗ニンジンまで入れて食べている」
丸山晃・埼玉新聞相談役は「ルーツを忘れない高麗神社は1300年間、韓日関係がよい時も悪いときも、韓日の心をつなぐ役割を果たしてきた」と語った。
今月4日には、高麗神社の存在をありがたく思う在日韓国人らが800万円を集め、神社の入口に記念碑を立てた。記念碑には、この地域に「高麗郡」を設置するという『続日本紀』内の一文と共に、高句麗を象徴する「三足烏」が刻まれた。
高麗神社は、在日韓国人社会でのみ名所として評判になっていたわけではなかった。日本最古の神社の一つにふさわしく、日本の主流社会にも、この神社にまつわる数多くの逸話がある。「出世したければ高麗神社にお参りしろ」という俗説もある。斎藤実(1858-1936)を含め、高麗神社に参拝した後、総理大臣になった政治家は6人もいるという。90年代には「大事件が起こった時、高麗神社にお参りすると捜査がうまくいく」という話が出回り、東京地検・東京高検の検事が次々とお参りに来たこともあった。今でも、毎年40万人が訪れる。
23日の記念式には、馳浩文科相が出席する。今上天皇のいとこに当たる故・高円宮憲仁親王の久子妃もやって来る。久子妃は「若光の会」名誉顧問を務め、羅鍾一(ラ・ジョンイル)元駐日韓国大使と親交が深い。故・高円宮も親韓派に挙げられる。韓国側からは、柳興洙(ユ・フンス)駐日韓国大使や金浩燮(キム・ホソプ)東北アジア歴史財団理事長などが出席する。駐日韓国大使館の関係者は「来月、日本人を対象に、高麗神社を訪れて古代韓日関係史を学ぶプログラムを用意している」と語った。高麗神社側もこれに応え、今年一年さまざまな行事を準備している。