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旧基準家屋に死者集中…耐震化遅れ 本紙調査

熊本地震被害状況=23日午前0時現在

 熊本地震で死亡した人が発見された倒壊家屋・アパート計34棟について、不動産登記簿などにより建築時期を確認できた25棟のうち、23棟が建築基準法の新耐震基準(1981年6月)より前に建てられていたことが、毎日新聞の調査で分かった。関連死とみられるケースを除く死者48人のうち、建物倒壊による死者は37人と、8割近くにのぼる。耐震性が不十分な建物で犠牲者が多く出ており、早急な耐震化の促進を国や自治体は迫られている。【関谷俊介、深津誠、野呂賢治】

 建物倒壊によって圧死や窒息死した37人が発見された34棟について、不動産登記簿や建築計画概要書で建築年や売買時期などを調べたところ、19棟で記載を確認できた。新基準後に建てられたのは熊本県南阿蘇村のアパート2棟のみで、残る一戸建て住宅15棟とアパート2棟は新基準前の建築だった。

 うち南阿蘇村の1棟では、東海大生1人が死亡した。登記簿に建築年の記載がない6棟は、熊本地方法務局によると「65年前後より前の建築」で、この6棟を加えると新基準前の建築は23棟にのぼる。

 一方、7棟は不動産登記そのものがなく、建築年を確認できなかった。熊本県土地家屋調査士会は「未登記の建物は遅くとも65〜75年に建築されたケースが多い」と指摘する。残り2棟は住所を特定できなかった。

 時期を確認できた25棟を市町村別にみると、倒壊建物により最も多くの犠牲者が出た益城(ましき)町では15棟すべてが新基準前、熊本市内でも3棟全てが新基準前の建築だった。

 地震による住宅損壊は22日現在、熊本・大分両県などによる調査で計約1万200棟が判明し、1万棟以上になった。

 熊本県によると、県内の住宅の2013年時点の耐震化率は76%にとどまり、全国平均82%より低い。耐震改修の補助制度は全45市町村のうち16市町にしかない。大きな被害が出た益城町、西原村には補助制度そのものがなかった。

◇耐震基準◇

 建築基準法は地震で建築物が損傷、倒壊しないように地盤や基礎、形状などから強度基準を定めている。28人が死亡した宮城県沖地震(1978年)を受けて81年6月に同法が改正され、中規模地震(震度5強程度)で「ほとんど損傷しない」としていた旧基準から、大規模地震(震度6強〜7程度)でも「倒壊・崩壊の恐れがない」とする新基準に強化された。

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