小川和也の「デジタル・ドリブン」

テクノロジーは自然災害の前には無力なのか?

2016年04月22日(金) 小川 和也
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〔PHOTO〕gettyimages

過去の経験を生かしきれていない現状

4月14日以降、熊本を中心に大きな地震が続いている。

熊本県熊本地方、阿蘇地方、大分と、三つの地域で別々の大地震が同時多発するような事態は近代観測が始まってからは例がなく、いっそう大きな動揺を誘う。この熊本地震は南海トラフ地震の前兆かもしれないと指摘する専門家もおり、それを紐づける活断層図がソーシャルメディアで頻繁にシェアされている。

次々と大きな災害に直面する中で、「テクノロジーが発達した社会になったのに、なぜ地震や噴火を予測できないのか」という声を見聞することが多くなっている。

昨秋、火山学者で京都大学大学院人間・環境学研究科の鎌田浩毅教授と「大地殻変動時代に突入した日本~自然界を監視するためにテクノロジーの活用を!」
http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/45486)というテーマの対談をした。従前より、鎌田教授は「日本が大地殻変動時代に突入した」と警鐘を鳴らしており、その予測や防災に、テクノロジーがどのように寄与できるかについての議論を2人で交わしている。

当対談でも言及している通り、短期的な災害を防ぐ観測などにはテクノロジーが実際に活用されている。小さな揺れを地震計でキャッチしてデータにしたり、マグマの影響による微弱な山の膨れを計測することも、まさにテクノロジーのなせるわざだ。人間が近づけない危険な地域にはドローンを飛ばし、監視観察に用いられている。ドローンだからこそ得られたデータもあるという。

鎌田教授は「過去は未来を解く鍵」という考え方に則り、過去のデータを参照して直近から未来までを予測する。しかし、日本列島には110もの活火山があるにもかかわらず、ほとんどの火山においては過去のデータが揃っていない。データが揃っていないことは分析の阻害要因になってしまう。

災害の被害を予測して被害範囲を地図化するハザード・マップも、いままで得られた知識に基づき、過去の経験に当てはめて将来予測の地図を描く。そうすると、経験したことがないような災害に対峙することになった場合、全く無力になってしまうことにある。過去に起きたことがないような現象というものは実際にしばしば起こるにもかかわらず、だ。

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