過払い請求で全額返還は難しいってホント?

「過払い金はわたしたちが払い過ぎたお金、返してもらうのが当たり前!」

 

当然の意見であります。
弁護士や司法書士に頼めば過払い金を全部回収できると考えるのが当然でしょう。

 

しかし、実際の過払い請求では、過払い金全額の7割から5割程度の返却で和解というケースが多々あります。

 

いったいなぜ全額返還ではなく減額されて和解となってしまうのでしょう?
ここでは過払い金の全額返還をめぐる仕組みを考えてみましょう。

 

過払い請求で減額和解になるケースが多いのは何故?

何故、過払い請求では全額返還ではなく減額和解になることが多いのでしょう。

 

大きな理由は2つあります。

 

まずは回収までにかかる期間の問題です。中小消費者金融業者はもちろんですが、大手消費者金融業者であっても以前のように「儲かって仕方がない」という業者は皆無でしょう。

 

どこも厳しい経営状況を強いられています。そうなると「過払い金を返して」と請求されても、すんなりと請求通りに返却する業者は少ないのが実情です。

 

「なんとか少し額を低くしてもらえないでしょうか」と提案してきます。

 

もちろん法的にはこちらが正当ですので、提案に応じなければよいのですが、そうなると「では訴訟を起こして下さい」と出てきます。裁判となったとしても、ほとんどの場合は消費者側が勝ちます。

 

それでも業者が減額を推してくるのは、裁判になれば時間がかかるということを知っているからです。特に、今現在でも経済的に苦しんでいる人たちにとって、裁判にかかる時間は長く待ちきれないという人も多いのです。

 

言うなれば「こちらの足元を見た対応」という訳ですね。

 

そうなると「ふざけるな!こっちのお金なんだから裁判でもしてキッチリ返してもらう!」という気持ちになりますが、ここでもうひとつの理由が出てくるのです。

 

それが費用の問題なのです。訴訟にかかる費用自体はそれほど高くはありません。請求する額にもよりますが、書類代や印紙代など1万円〜2万円程度で足りることでしょう。

 

では、何の費用が高くなるかというと、弁護士・司法書士といった専門家に支払う報酬です。(ちなみに訴額が140万円を超える場合や上訴する場合、司法書士ではなく本人訴訟もしくは弁護士への代理依頼となります。)

 

過払い請求の費用はすでに決まっていたとしても、訴訟となると別の依頼として新たな費用が発生する事務所がほとんどです。

 

こうなると、和解提案額と訴訟にかかる費用を天秤にかける必要が出てきますよね。大手業者やまっとうな業者であれば、常識的な額で減額和解を持ちかけてくるのが現状となっています。

 

債務者側も、無理に訴訟を起こして時間や費用をかけずに、納得のいく額で解決というケースが大多数となっています。

 

また、減額和解に応じず長期化することで、業者が倒産した際に過払い金の返還が受けられないというケースを免れるメリットがあります。

 

いわゆる破綻リスクですね。

 

記憶に新しい方も多いかもしれませんが、武富士のような大手貸金業者でも経営が破綻することのある業界です。

 

肝心の過払い金を請求する先が無くなってしまっては元も子もありませんね。

 

(一応、倒産後でも一定期間は過払い請求をすることができます。ただし返還額は過払い金全額の1割〜3割という大幅減額になってしまいます。)

 

全額返還するためには?

「いや!やっぱり自分はどうあっても全額返還してもらいたい!」と考える方もいるでしょう。

 

その場合には、最初から全額返還のみで減額和解には一切応じない覚悟で臨みましょう。弁護士や司法書士はアドバイスこそすれあなたの代理人です。

 

あなたの意見を無視して和解するようなことは決してありません。過払い請求や和解の方針については、しっかり担当者と話し合って確認しておきましょう。

 

費用がかかっても良いというのであれば、最初から弁護士・司法書士事務所に全てお任せしましょう。

 

上訴まで視野に入れて、弁護士一本で依頼するのも良いでしょう。「いや、費用は安くしたい」というのであれば、過払い請求も訴訟も自分で行うという方法もあります。

 

書類の抜けや不備、引き直し計算の間違いなど許されませんので、相応の情報収集と準備期間が必要になるでしょう。

 

さらに付け加えますと、過払い金を返してもらう際には、金利を請求する権利があります。

 

法定金利5%の利息を加えた額を請求することができるのです。どうせ裁判に持ち込むのであれば、徹底回収をする覚悟で!

 

大幅減額になるケースはどんな場合?

過払い金の返金額が大幅に減額されるケースは、まず請求先の業者が倒産してしまった場合です。

 

救済措置として倒産後の請求も一定期間認められますが、返還額は約1割〜3割程度と大きく減額されてしまいます。

 

そして、最近問題になっているのが、法律事務所と業者との関係性によって返還額が大幅減額されている事案です。

 

過払い請求がさかんになるにつれ、多くの事務所が扱う案件となっていますが、中には金融業者との癒着があるのではと指摘される事務所が出てきています。

 

通常よりも低い額で和解する変わりに、案件にかける時間が大きく短縮され、金融業者にとっても法律事務所にとってもメリットがあるためですね。

 

もちろんわたしたち依頼者側にはデメリットしかありません。弁護士会でも問題にされましたが、こういったケースで減額なんて目には会いたくないものです。

 

法律事務所に依頼する際には、信頼できるところがどうかが重要だということを改めて感じさせますね。

 

和解せずに訴訟となった場合

和解案に応じず訴訟となった場合、弁護士や司法書士に委任するかどうかで大きく状況は変わってきます。

 

専門家にお任せする場合、わたしたち依頼人は特にすることはありません(司法書士法で扱えない訴訟の場合には本人出廷の必要もありますが)。

 

多少費用がかかりますが、確実に充分な額の過払い金を取り戻す近道となるでしょう。

 

少し大変なのが自分で訴訟を起こす場合です。金融業者側も相手が個人となると、安易に折れない可能性も高くなります。

 

費用自体はそれほどではなくとも、手間と時間だけは取られる覚悟で臨みましょう。もちろん最低限の法律知識も必要となりますし、裁判所へ出向くのは平日になりますので、仕事の都合なども考慮しておきましょう。

 

ちなみに訴訟となった場合に、確定判決が出て実際にお金が返還となるまでにかかる期間も考えておきましょう。業者の対応によっても違いが出てきますが、おおよそ半年から1年といった長い回収期間を覚悟しておいた方が良いでしょう。

 

過払い請求の費用を考える

過払い請求にかかる費用は、やはり弁護士や司法書士への報酬が最も大きな額になります。事務所によって違いますが、着手金(1件ごと)+成功報酬+過払い報酬(返還された額の何割か)という計算が一般的です。

 

着手金や成功報酬は無料というところもありますが、たいてい一定額が最初から固定されて明示されていると思います。過払い報酬は返還額の2割程度が相場となっています。事務所を費用で比較する際のポイントになるでしょう。

 

注意したいのが訴訟となった場合の費用です。

 

訴訟となった時点で新たな費用が発生する場合と、過払い報酬の手数料が多くなる場合が主流となっています。事務所によって違っていて、また広告やホームページでは分かりづらいことが多いので、最初の相談の際に確認しておきたいポイントですね。

 

また、請求だけの場合も訴訟の場合でも、書類代などの実費が別になる場合もありますので、こちらも確認しておきましょう。

 

こういった費用を頭に置いておくと、和解案を提示された段階での判断がしやすくなるでしょう。

 

満額返還にこだわるよりも、妥当な額で和解した方が費用を抑えることができる場合があります。

 

自分で過払い請求をした場合

過払い請求を自分でやる人もいます。

 

もともと弁護士や司法書士は本人の代理となって請求しているのですから、本人が出来るのであればもちろん問題ありません。

 

ただし、個人が請求してきた場合に、請求額全額をすぐに返還する業者もまずないでしょう。さらに専門家が代行するのに比べて、明らかに対応が遅い業者も多いようです。

 

それでも最終的に訴訟まで持ち込めば、個人でも全額返還(+利子)を受けることは可能です。時間に余裕のある方はしっかりと準備をしてからチャレンジすることをおすすめします。

 

過払い請求と債務整理と信用情報の関係

現在も借金の返済を続けている人にしてみれば、過払い金が発生しているのならすぐにでも返してほしいという方が多いでしょう。

 

しかし、過払い金の請求は基本的に完済後に行うものになります。借金を返済中(債務が残っている状態)の場合には、債務整理の一環として過払い金請求を行うことになります。

 

残高が大幅に減額されたり、人によっては残高がゼロになる可能性もあるので、メリット大きいのですが、ひとつ注意しておきたいことがあります。それが信用情報の問題です。

 

借金完済後の過払い金請求は信用情報に関係がありません(請求によって一時的に返済が止まり、延滞になる場合はあり)。

 

しかし、返済中の請求つまり債務整理を行った場合には、信用情報に事故情報が残されてしまいます。

 

記載が残っている間は、クレジットカードの審査などに通りにくくなるというデメリットがあります。

 

完済の目安がついているのであれば、完済後に請求する方が良いでしょう。

 

しかし、返済に行き詰まっているのであれば、信用情報を気にするよりも、自分の生活を立て直す方が先決だと思います。

 

見極めが難しい方は、専門家の無料相談でこういったことを含め相談に乗ってもらうのが賢明でしょう。

 

過払い請求を成功させるために

過払い請求は個人でもできる作業ではあります。

 

しかし、訴訟や交渉となるとどうしても素人では敵わない部分が多いのも事実です。

 

少しでも多くのお金を返してもらうためにも、専門家のアドバイスを受けることが近道であり堅実であるでしょう。

 

また、現在も借金の返済で悩んでいるのであれば、信頼できる専門家の門を叩くことが、なによりの解決策であると言えるでしょう。

 

特に長年借金の返済を続けている人ほど、多くの過払い金が発生している可能性があります。

 

長い間悩んでいたお金のことが、あっという間に解決してしまうケースが沢山あるのです。

 

実際に依頼しなくても相談だけは無料でできます。ちょっとの勇気が明日からのあなたの人生を変えるかもしれないのです!


このページの先頭へ戻る