World
|
<「反科学的ではないものの、ナイーブ」>
批評家の中には、IARCの研究論文はニュースで取り上げられるずっと以前から問題があったと言う人もいる。彼らが懸念するのは、IARCの5つの分類カテゴリーのうち、どこに物質や活動を入れるかを決定する「専門家研究グループ」の構成にある。
これらの専門家の中には、審査中の物質や活動ががんを起こすかどうか、長年にわたって研究成果を発表してきている人も含まれている。彼らは、自らや親しい同僚の研究を審査するIARCの研究グループの一員かもしれない。
例えば、IARCは2012年から2015年の間、314人の科学者が関わる18の研究論文を発表したり、手掛けたりした。ロイターの分析では、このうち少なくとも61人の科学者が、自らの科学的研究を考察する研究論文の研究グループに従事した。
国際疫学研究所のタローン氏や他の科学者は、記事科学雑誌の評論や記事、または書簡で、こうした人々が「同僚や自らの研究の妥当性や方法論の健全性について、最良の判断を下せるか」どうかについて疑問を呈してきた。
IARCのストライフ氏は、同機関の研究グループは「世界で最高の専門家」で構成されており、科学的な証拠を批判的に評価し、自らや親しい同僚による従来の発見に引きずられないグループだと述べた。
ストライフ氏は「正当な理由により、研究について最も知っている人々は、それまでにその研究にかかわってきた人々だとの強い信念がIARCにはある」と話した。
ストライフ氏はIARCの規則上、「筆者や関連のある同僚」は自らが発表した研究について直接評価することはできないと述べた。そして、「擁護などが許容されない」環境下で、20人から30人が議論に参加していることから、中立性が担保されていると話した。
- ロイターをフォローする