2016年4月22日(金)

長時間残業 主因は「丁寧で愚か」な上司だった

人事の目で読み解く企業ニュース【45】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
溝上 憲文 みぞうえ・のりふみ
ジャーナリスト

溝上 憲文1958年鹿児島県生まれ。ジャーナリスト。明治大学政治経済学部政治学科卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。新聞、雑誌などで経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。『非情の常時リストラ』(文春新書)で2013年度日本労働ペンクラブ賞受賞。主な著書に『隣りの成果主義』『超・学歴社会』『「いらない社員」はこう決まる』『「日本一の村」を超優良会社に変えた男』『マタニティハラスメント』『辞めたくても、辞められない!』『2016年 残業代がゼロになる』など。近著に『人事部はここを見ている!』(プレジデント社刊)がある。

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溝上憲文=文
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長時間労働 原因は上司の執着と思い込み

なぜ、日本人の長時間残業は一向に減らないのか。

厚生労働省は省内に「長時間労働削減推進本部」を設置し、取り締まりの強化や働き方の見直しを企業に呼びかけているが、根本的な解決には至っていない。

マクロ的には、日本企業は長期雇用を前提に、好景気の繁忙期と不況期の生産減を残業時間で調整しており、残業は構造的なものと説明される。

しかし、それだけでは説明できないことも多い。

建設関連会社の人事担当者は残業がなくならない理由として私の取材にこう説明したことがある。

「残業理由の多くが、実は上司や役員の仕事に対する細かさのためだったり、こだわりのためだったりします。指示された仕事は今日中にやらなければ許されない、プレゼン資料などの誤字脱字は許されない、事前説明がないと会議にかけてはいけない、といった暗黙のルールや長時間労働を助長する風土が、社員本人の問題よりも意外と残業の原因になっているのです」

つまり、上司など幹部の仕事に対するこだわりが残業を生んでいるというのだ。

また、こういう人たちにはそもそも所定労働時間の概念がないと指摘するのはIT企業の人事部長だ。

「成果を出すには長時間労働が当たり前だと思って生きてきた人が多いのです。彼らにとっては会社の所定労働時間が8時間であっても、残業時間を入れて10時間ぐらい仕事をしなければパフォーマンスが出せないと思い込んでいる。つまり10時間やるのが普通で、人事評価もそれが基準になり、定時に部下が帰ろうものなら評価も辛くなってしまいます。仮に8時間で高いパフォーマンスを出す超優秀な部下がいたとすれば、ここが日本の企業社会の恐ろしいところですが、もっと仕事をしてもらおうと考えて仕事を与えようとする。結果的に長時間残業になってしまうのです」

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