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精神疾患の長期入院評価、研究班が基準案- 「重度かつ慢性」を判定
厚生労働科学研究の研究班は、精神科の長期入院患者の評価に関する基準案を作成した。厚労省の検討会が、「重度かつ慢性」を長期入院の要件として示したことから、その基準を明確にするため、2013年度から研究を続けてきたという。精神症状や行動障害、生活障害、身体合併症の基準を満たした場合、「重度かつ慢性」と判定するとしている。【新井哉】
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精神科医療を議論してきた検討会が12年に発表した「今後の方向性に関する意見の整理」で、新たな長期入院患者を出さないことを明確にする観点から、「重度かつ慢性」を除き、「精神科の入院患者は1年で退院させ、入院外治療に移行させる仕組みをつくる」といった方針が示されていた。
この方針を受け、研究班は長期入院患者のデータなどを基に、13年度の研究で「重度かつ慢性」の暫定基準案を作成。精神症状がBPRS(簡易精神症状評価尺度)総得点45点、またはBPRS下位尺度の1項目以上で6点以上といったことなどを満たし、「行動障害」と「生活障害」のいずれか(または両方)が一定の基準以上である場合、「重度かつ慢性の基準を満たすと判定する」としたほか、身体合併症の評価も示していた。
14年度と15年度は、基準の妥当性などを検証するための研究を実施。全国の精神科病院に協力を依頼し、状態の評定や入院中に実施した治療内容などを調査した。入院後1年から1年3カ月の新たな長期入院患者581人のうち、350人(60.2%)が研究班の暫定基準を満たしことが判明。このうち260人が医師による退院可能性の評価で「症状が重いため退院困難」と判断したという。
調査結果などを踏まえ、暫定基準案の妥当性を検証した結果、身体合併症の項目に追記したが、それ以外は暫定基準案を踏襲する内容となっている。研究班は暫定基準を満たす患者に必要な治療についても検討しており、薬物療法については「早期の見直しが有効」とする一方、「一定期間後の多剤併用は効果が乏しい」と指摘している。
心理社会的治療については、ケア会議や服薬管理のほかに、個人精神療法(30分以上)でも「有意に退院促進効果が認められた」と説明。今後、基準の精度向上に加え、薬物療法・心理社会的治療体制や指針を具体化する必要があるとの考えを示している。
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