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アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と- 作者:一星

第一章 脱出 一巻ダイジェスト部分

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十三話 木の化け物

 トレント狩りから戻った俺は、桶を水で満たして左腕にできた血で汚れた傷を洗い流した。既にかさぶたが出来ていて血自体はもう止まっている。熱を持った鈍い痛みが有るが、これならポーションなど使わず放っておけば治るだろう。
 破傷風とかは怖いが、受けた攻撃はたぶん空気を飛ばす魔法の攻撃なので、その手の心配は大丈夫だと思おう。

 さて、武器が無くなり帰ってきたのだが、まだ今は昼前で時間はたっぷりある。あのトレントを放って置くと今まで与えたダメージが回復するか分からないが、出来るだけ早めにケリを付けたい。
 ルーンメタル製の槍は材料が無いので作れないが、鉄ならば大量にある。これで今から武器を作り早めに決着を付けたいものだ。

 壁際に積まれている鉄のインゴットを、マジックバッグに入れて炉の前に移動する。水桶は昨日使ったままの水がそのまま入ってるので、直ぐに鍛冶が出来る状態になっている。
 取り敢えず先程と同じ鉄の槍を十本ほどと、今回は同じ重さ位の投げ斧とハンマーを用意してみた。重さを同じにすると、両方ともかなりごっつい物が出来上がり、人に当たったらまず死ぬだろという武器だ。
 想定している用途としては、斧は相手が木なので単純に投げる為だ。木の弱点が斧とか安直な考えなのだが、果たして効くかは俺自身半信半疑で作ってみた。まあ、物は試しと言う奴だ。
 ハンマーはトレントに突き刺さっている槍の石突の部分に当てて、より深く突き刺さらないかと思い作ってみた。トレントも木の化け物ではあるが、生き物である以上体に穴を空けられれば死ぬことは先程の戦闘で分かったので、これは中々いい案なんじゃないかと思っている。
 問題としてはちゃんと上手く当てられるかだが、そこは数撃ちゃ当たるってのを実行していこう。

 こんな感じで新しく武器を作りだしその日は終え、翌日の昼飯の鳥サンドを頬張りながら、俺の膝の上に乗っている大鳩のポッポを撫でて癒されている。鳥を撫でながら鳥を食べる……。彼女は一体俺の事をどう思うんだろうか。まあいいか、今日のデザートは木イチゴらしい、有難くいただこう。
 食事を取りながら、改めて鍛冶のスキルのすさまじさを感じた。こんな短期間にこれだけの武器を作り出す事が出来るなんて自分の事ながらびっくりである。

 そう言えば今までは武器だけを作ってきたが、今後毛皮がまだ取れるのであれば、防具も作ってみてもいいかもしれない。
 今まで防具はこの炉のサイズでも出来る物ならば、作ろうと思えば作れたのだが、二つの理由で作ってこなかった。それは、ます第一に、直接肌に金属を付けるのがありえない事だったので作ってこなかったのだ。
 この世界でもそうなるかは分からないが、金属アレルギーが有った俺には、直接金属と肌を触れるなんて恐ろしい事は絶対にできなかった。もしこの体にアレルギーが無くとも、あれは体に蓄積された物が許容量を超えた時に起こる現象だと記憶にある。袋の服を着ていようが、腕や下半身は剥き出しだし、汗をかけば直接触れて無くとも反応するのだ。怖すぎる。
 第二に鎧を着れば音が出るだろう事だ。基本的に気づかれないように行動しているので、鎧を着た事で望まぬ戦闘が起こるなんてアホらしいと考えていたのだ。
 その二点を考えて今まで手を出していなかったが、毛皮の革部分は厚くあまり水を通さない事は、腰に付けた物で既に分かっている。鎧の内側に張り付ければ俺の懸念している第一の問題は解決できるかもしれない。
 音に関してはもう既に戦闘を前提に動いてるので、あまり関係ないかも知れないと思ったからだ。

 だが、翌々考えれば鎧が効果を発揮する状況になったら、投擲術しかない俺はどうしようも無くなるって事か。ここは機動性を重視して今までのスタイルで行くのが良いのかもしれない。遠距離攻撃を防ぐ盾なんかはあれば有効かもな。

 結局は当分はこのままで行くことを結論として、先ほど作り上げた武器をマジックバッグに収めて再度の挑戦に向かった。
 今回も狼が沸いており、槍の一撃で処理をした。正直弱すぎるのだがこのダンジョンバランスどうなってんだ? ドロップ品をマジックバッグに収めて先へ進む。
 道中で探知に気配を捉えたが、どうやら復活などはしていないようで、数を減らしたままの一つだけの気配だけが有った。
 先程まで槍を投げていた場所にたどり着き、壁に隠れながら様子を探る。目に入ったトレントは俺が投げた槍が刺さったままで、少し萎れている様な感じを受ける。効いてる効いてるって状況だな。
 こちらにも気付いて居ない様子なので、先制攻撃を食らわしてやろう。

以下、ダイジェスト

 斧を投げ槍を投げトレントをハリネズミのようにした後は、ハンマーを使って仕留めることにした。四投ほどすると以前投擲したルーンメタルの槍の石突に見事当たり貫通させ、トレントを倒すことが出来た。
 レベルが上がり、ドロップ品を回収したが道の先は行き止まりだった。次の目的を模索した結果、今後は採掘を行う事を決定した。
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