韓国独自の技術が見当たらない「韓国最高層」ビル

【特集】色あせる「メード・イン・コリア」神話

 韓国企業はこれまで独自技術なく、大規模投資で「より薄く、より軽い」製品をライバル国よりも「より安く」生産することに集中し、成長してきた。しかし、韓国主導の「量産技術革新」は限界に直面している。サムスン電子は最近、回路線幅18ナノメートル(ナノは10億分の1)のDRAM開発に成功したが、10ナノメートル未満の超微細製造プロセスは不可能だとの見方が支配的だ。そのため、これまでとは全く異なる概念の半導体が求められている。

 「製造業の没落」は、20年以上にわたり世界トップに君臨してきた造船業でも現実化している。

 現代重工業、大宇造船海洋、サムスン重工業の造船3社は昨年だけで石油掘削装置などの海洋プラント部門で約4兆5000億ウォン(約4280億円)の営業損失を出した。「なせば成る」精神で走り抜けてきたが、複雑な海洋プラントに必要な設計能力が決定的に不足していた。基本設計は海外に委託し、それを土台に作成した設計図は発注元かた100回以上も突き返された。

 結局、建造費用が雪だるま式に膨らみ、建造期間も延びた。造船業界役員OBは「韓国のエンジニアは海外のエンジニアリング会社が作成した基本設計をしっかり理解できていない状態で大雑把に受注価格を算出した」と話す。

 製造技術の競争力が限界に達し、製造業の空洞化もますます深刻化している。独自技術不在で製造業を営む国ならばいくらでもあるからだ。

 サムスン電子のスマートフォン事業はベトナムに生産拠点を移転。世界5位の自動車メーカー、現代自動車は過去18年間、韓国国内に工場を新設していない。

 このため、世界最高に迫る青年失業率(11.8%)は改善の兆しを見せず、韓国の勤労者の労働時間は依然として、経済協力開発機構(OECD)でトップ圏だ。

 ソウル大の李正東(イ・ジョンドン)教授(産業工学)は「これまで韓国の産業は他国を速やかに見習う『ファスト・フォロワー』で成功を収めてきたが、それに慣れ親しんでしまい、時代錯誤の蓄積で、白紙の状態から新たなものを誕生させる能力を育てられなかった。韓国経済の新たな飛躍に向けたパラダイムシフトが求められている」と指摘した。

李性勲(イ・ソンフン)記者 , 写真=キム・ヨンジョン客員記者 , グラフィック=キム・ソンギュ記者
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